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2008年11月 7日 (金)

24条は盛り上がる

きのう(6日)は、76期岡山労働学校の
第5講義「
24条の成り立ちと意味-男女平等の課題を考える
でした。参加は盛り返して17名。
講師は私が担当しました。


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 グループ討論の様子。

 24条の話は、
 自分の体験で話せるので、
 とても盛り上がります。
 話がつきないようでした。


24条をめぐっては、さまざまな角度からの
切り口が考えられますが、
主にはベアテさんの話と、
経済的な女性差別の話をメインにしたつもり
だったのですが、
みなさんの関心はジャンダー問題に集中した
ようであります。

風邪と準備不足で、言い忘れたことが
山ほどあり、「あーしまったぁ」と後悔した
夜でありました。


以下、講義の概要です。

 第24条

 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有
  することを基本として、
相互の協力により、維持されなければならない。

  ②配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び
  家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳両性
  の本質的平等
に立脚して制定されなければならない。

 第14条

 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的
  身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、
  差別されない。(2項、3項は省略)



一。24条の成り立ち-ベアテ・シロタのたたかい
 
1。憲法制定までの経過
  
1945年 8月15日 終戦、日本は連合国(GHQ=実質はアメリカ)の
               占領下に。
        
9月27日 幣原首相、マッカーサー元帥と会談。「5大改革
               指令」を受ける。
       
10月27日 憲法問題調査委員会第1回総会。松本烝治国
               務大臣を中心に草案作成作業に着手
  
1946年 2月 1日 毎日新聞、日本政府案をスクープ。GHQ民生局
               毎日スクープを翻訳、到底受け入れられないと
               注釈をつけマッカーサー元帥に報告。
        
2月 2日 ホイットニー民生局長、マッカーサー元帥にGHQ
               での憲法草案作成について意見上申。
        
2月 3日 ホイットニー民生局長が、ケーディス大佐らに民
               生局による草案作成を命令。
        
2月 4日 民生局員25人を各小委員会に分け、草案執筆
               作業に着手。
        
2月12日 GHQ案最終稿完成。マッカーサー元帥に提出、
               承認を受ける。
        
2月13日 ホイットニー民生局長ら外務大臣官邸に出向き、
               吉田外務大臣、松本国務大臣らに、草案を手渡す。
        
2月22日 幣原首相、マッカーサー元帥と会談。日本政府、
               
GHQ案受け入れを閣議決定。
        
3月 4日 日本政府修正案をGHQに提出。対訳検討に入る。
        
3月 5日 修正案を否定され、GHQ原案で対訳作業を徹夜
               で完成。
        
3月 6日 日本政府の憲法改正草案発表。マッカーサー元
               帥直ちに承認表明。
        
4月10日 第22回総選挙(はじめての普通選挙)
        
6月20日 第90回帝国議会衆議院本会議に「帝国憲法改
               正案」提案。
               
この間の議会論戦でさまざまな修正。
       
10月29日 衆議院本会議で可決成立。
       
11月 3日 「日本国憲法」公布
  
1947年 5月 3日 「日本国憲法」施行



2。ベアテ・シロタ・ゴードンさんのこと
 
◇日本での10年間(5歳~15歳)の生活
  
*日本の女性の姿をよく知っていた
 
◇GHQ民生局のメンバーとして再来日(22歳)、そして・・・。

   
「私は、自分の名前が読み上げられた時、『これは凄いことになっ
   た!今、私は人生
のひとつの山場にきている』と感じた。…全力を
   尽くしてあたらねばならないという、
強い使命感が、私の沸き立つ
   ような興奮を抑え、冷静にさせていた」

   
「毎日スクープ(日本政府の考えていた案)…その中には女性、母
   親、家庭、児童と
いう言葉は全く発見できなかった。私は、女性が
   幸せにならなければ、日本は平和に
ならないと思った。男女平等
   は、その大前提だった」

   
「私は方針を立てた。まず日本の女性にとって、
どんな条項が必
   要なのか?そのためには、手本に
なる憲法を見つける必要があ
   ると思った。…外出
許可を貰って、ジープで都内の図書館や大学
   を巡
った。…アメリカ独立宣言、アメリカ憲法、マグ
ナカルタに始
   まるイギリスの一連の憲法、ワイマ
ール憲法、フランス憲法、スカ
   ンジナビア諸国の
憲法、それにソビエト憲法…」

   
「英語、フランス語、ロシア語、ドイツ語、スペイン語、日本語。私
   は自分が読める
六か国語を駆使し、人権に関する条文で役に立
   ちそうな箇所を、片端から抜き出しメ
モをつくった」

   
「私は、各国の憲法を読みながら、日本の女性が幸せになるには、
   何が一番大事かを
考えた。それは、昨日からずっと考えていた疑
   問だった。赤ん坊を背負った女性、男
性の後をうつむき加減に歩
   く女性、親の決めた相手と渋々お見合いをさせられる娘さ
んの姿
   が、次々と浮かんでは消えた。子供が生まれないというだけで離
   婚される日本
女性。家庭の中では夫の財布を握っているけれど、
   法律的には、財産権もない日本女
性。『女子供』(おんなこども)と
   まとめて呼ばれ、子供と成人男子との中間の存在で
しかない日本
   女性。これをなんとかしなければいけない。女性の権利をはっきり
   掲げ
なければならない…」
       
(ベアテ・シロタ・ゴードン『1945年のクリスマス』、柏書房)

  
◇彼女が考えた条項(資料⑫)

  
◇ドラマチックな憲法の制定過程


    「これらの条項が、どんな資料から引用され、ベアテさんの胸中
    でどう組み立てられていったのか、そして文案がいかに無残に
    カットされていったかのプロセスは、まさに1つのドラマである。
    それは言い換えれば、女性の権利をめぐって展開された、女
    性の執念と男性優位社会との戦いでもあった」
       
(鈴木昭典『日本国憲法を生んだ密室の九日間』、創元社)



二。24条の意味
 
1。「家」制度の否定
  
◇戸主を中心とする戦前の「家」制度の否定
   
*戸主(男)は、「家」の統率者であり、財産は戸主に継承され、
    家族構成員の家籍変動に対する同意権、居住指定権、入籍
    の拒否及び家籍からの排除権をもっていた。つまり婚姻や離
    婚、養子縁組には、戸主の同意がなければ行なうことはでき
    なかった。また、子の親権は戸主、すなわち父親にあった。

   
*現民法にも、その当時の残滓(ざんし)があり、夫婦別姓問題
    など社会的な課題となっている。

  
◇家族のなかの「個人」と「両性の平等」を何よりも尊重する

 
2。ジェンダー視点で24条の積極的価値を考える
  
◇ジェンダーとは、社会的・歴史的につくれた男女の「役割」「資質」
   
*「男らしさ」「女らしさ」・・・あなたはどう考えますか?(資料⑫)

  
◇男性支配の否定その①「家庭内暴力」
   
*現在日本には、夫などから「命の危険を感じる程度の暴力」を
    受けている女性が、
180万人いると推定されている。
   
*2001年に制定されたDV(ドメスティック・バイオレンス)防止法
    は、60年以上前から24条によって要請されていた。
   
*24条は家族という「私的」関係における暴力を否定しているが、
    そのこととの関連で考えると、9条は「公的」な暴力(軍隊や戦争)
    を禁止しているともいえる。戦争におけるジャンダー視点も必要。
    米海兵隊による女性にたいする性犯罪など。

  
◇男性支配の否定その②「経済的格差」
   
*夫婦のあいだの経済的な格差が、家族における夫の支配行為の
    現実の手段となったり、夫の支配を助長したり、可能にしたりしている。
   
*憲法14条は、「政治的、経済的、社会的関係」すなわち公的領域
    における性差別を禁止している。



三。男女平等の課題-21世紀は女性の世紀に
 
1。女性差別撤廃条約を起点とした、女性の社会進出の時代へ
  
◇女性差別撤廃条約(1979年)とは(資料⑤~⑧)

  
◇職場での平等を確立する問題
   
*同一労働同一賃金
   
*均等待遇(雇用にかかわるすべての問題での平等)
   
*「間接差別」を認めない(雇用形態の問題など)

  
◇女性の社会進出のための、社会的条件をととのえる

 
2。女性の人権の課題(資料⑨~⑪)
  
◇女性の仕事をめぐって
  
◇現代日本の経済社会のあり方が強い規定要因に
   
①女性の手から仕事(経済的自立の条件)を奪い、女性を家庭に
    追いやる力。
   
②働き続ける女性に対しては、彼女たちを低賃金に追いやる力

    
→これによって生まれる男女の経済的格差が、家庭の中に
     男性優位を生み出すひとつの土壌となっている。

  
◇主犯は大企業・財界の利益至上主義に
   
*男性を長時間労働、職場へしばりつけることと、「女は家庭」は
    結びついている



さいごに:21世紀は、女性の能力が全面的に花開く時代。
      
男は敵ではなく、「誰もが人間らしく生き、働ける社会」を
      目指してともに歩み、たたかうパートナー。



以上。


受講生の感想。

「24条の『男女』ではなく『両性』って書いてあることに

初めて気づきました。あたしは、両親に女の子らしく
しなさいと言われて育ったので、ジェンダーに興味が
ないわけではないのですが、もっと考えていかなくては
ならないんだなぁーと思いました」

「普段の何げない会話の中で『女だから…』『結婚した
から…』とか...なんかひっかかるなーと思うことが
あります。まだまだ24条の目指す社会ではないけど、
ずっとベアテさんや先輩方が闘ってきたように、これ
から自分が変えていくんだ、という志で暮らしていきた
いと思います」

「今回の講義はとても興味深く聞くことができました。
ベアテ・シロタ・ゴードンさんは22歳で“両性の平等”
という偉大な憲法をつくって、すごいと思いました。
ジェンダーにとらわれない生き方をしようと思っても、
周りの目を気にしてしまう」

「男女平等とは、大切な仕事だと思っているけど、自
分の身についているかというと、意識できていない事
の方が多いように思った。『ジェンダー』という言葉は
よく聞くけど、学校現場等での方向性は疑問に思う
ことが多いナと思う。そこだけにとらわれないという
ことが大切なんだと学んだ。社会保障も不可欠!」

「24条の成り立ちの話が聞けて、大変良かった。ジェ
ンダーの視点の重要性がわかった。もっと女性が社
会進出できる世の中をつくっていきたい」






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コメント

地方特別受講生の感想。

>『風邪と準備不足で、言い忘れたことが山ほどあり、「あーしまったぁ」と後悔した夜』

といいながら、

両性の平等を語るとき第24条だけでなく、第14条の視点からも説明しているのは、さすがだなぁと。これでも準備不足なんだ・・・

カゲ茶はどうすれば、よかろうもんorz
準備不足、勉強不足だらけですよ。
長久さんの「準備不足だから」というレベルって・・・。
頑張るぞ~~p(^^)q

>関心はジャンダー問題に集中

性別の違いによる、賃金格差が『経済的な女性差別』という受け止めにはなってないということなのでしょうか?

この問題に女性自身が異議を唱え、立ち上がることが重要なのではないかと・・・

高知では『民権ばあさん』の話をよくしますよ
http://www.sole-kochi.or.jp/jyoho/play/place1/bbe01s3.htm

今日の講義も楽しかったです。

投稿: カゲ茶 | 2008年11月 9日 (日) 00時53分

カゲ茶さん、いつもコメントありがとう。

「民権ばあさん」の話は、第2講義の
徳方先生が紹介していました。やはり高知はすごいですね。

将来的には、ブログで、こうした学習会の講義を
録音したファイルを聞けるようにしたいと思っています。遠隔地から誰でも学べるように。
まだ構想中ですが・・・。

投稿: 長久 | 2008年11月10日 (月) 10時25分

すごい計画ですね!!

楽しみ楽しみ^^v

投稿: カゲ茶 | 2008年11月11日 (火) 22時52分

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