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2008年11月13日 (木)

『名作の戦争論』

私の「あこがれの人」の一人、
川田忠明さん(日本平和委員会常任理事)の最新刊、
『名作の戦争論』(新日本出版社)が今月出版されました。

さっそく読んで見たところ、
今年の読んだ本のなかで、『寡黙なる巨人』(多田富雄)と
同じぐらいの刺激と感化を受けました。
ぜひ多くの方に読んでもらいたいと思います。


川田さんは、戦後60年の2005年、
69期岡山労働学校と16期倉敷労働学校で、
連続して「戦争を『想像する力』、平和を『創造する力』」
というテーマで記念講演をしていただいたときに、
初めてお会いしました(それ以来会う機会は残念ながらない)。
移動の車の中で、いろいろとお話ができたり、
特別に10人程度での交流会をもうけたときに、
川田さんご自身のお話をいろいろうかがって、
「めっちゃ賢い人」「文化性豊かな人」という強烈な印象をもち、
憧れの気持ちをもったのをよく覚えています。

さらに、サッカー観戦や、クラシック音楽を聞くことなど、
私との共通点があったことも、とても嬉しい出来事でした。

ところが、ところが、この本を読んでみると、
川田さんのアートへの造詣や洞察力は、まったく
けた外れであることを認識しました。

さらに、私が
「運動におけるサイエンスとアート」と
表現して、
問題意識をもっている課題についても、
本書は多くの示唆をあたえてくれました。

「同時に大切なことは、それらの作品によりそうだけではなく、
私たちの活動においても美を意識することである。むろん行
動や主張の中身が第一義的に吟味されなければいけないこ
とはいうまでもない。だがそれを包む外見に、私たちはもっと
鋭敏であってもようはずだと、自戒をこめて強調したい。
どこ
まで遠くの人々に、どれだけ多くの人々に、そのメッセージを
届けることができるかは、その外見の魅力に少なくない部分
が左右されるからである

 問題は、そうした戦術的な面だけにとどまらない。運動とい
うものが人間の集団的作業であり、ゆるやかではあるが一
定のコミュニティーを形成するものであるだけに、そこには、
広い意味での文化が発生する。各国の運動が、それぞれに
異なる外見をもつのは、その文化的差異にもとづくものだ。
それゆえ、
私たちは自らの運動の文化をどのように創造する
のかに、より多くの関心と労力をはらってもよいのではないだ
ろうか

 本書は、そうした議論と検討の必要性を間接的に主張して
いるのである」(「『まえがき』として」より)

「誰もが曲のメッセージ以前に、その格好よさにひきつけら
れている。しかし、ここが非常に大事な点だと私は思う。
メッ
セージは、その外形において、これを受け止める側を感性
的に引き付ける力を持たなければならない
からだ。アートと
して、それだけの水準をもっていなければならない。しかも
この曲のカッコよさは、表面を磨き上げたスマートさではなく、
この現実世界とつながったところで火花を散らしている彼ら
のメッセージが装うべき、必然的な形態なのであ
る。『この
メッセージは大事だから、みんなで歌いましょう』だけではな
く、『カッコイイと思ったけど、実は中身はこうなのか』といった
心の捕え方
が、巨大な広がりを創っていくうえでは重要だと
思う」(「対抗する叫びの魅力」より)


本書は、さまざまな芸術作品のなかに、
その作者の意識的、あるいは無意識的なメッセージ、
あるいはその時代と格闘している姿を洞察しています。

こうした中身自体が、相当面白いうえに(かなり内容レベルは高い)、
川田さんの人間性が垣間見れ、本当に興奮しながら読みました。
そして、それぞれの作品への多少の知識や見聞があれば、
より感銘をもって受けとめることができます。

欲をいえば、たくさんの若い人に読んでもらいたい
内容なので、難しい漢字にはもっとルビがあればよかったかな。
私も読めない字が結構ありました(笑)。



もっともっと芸術文化に貪欲に生きようと、
思いをあらたにしました。





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読書記録」カテゴリの記事

コメント

相変わらずすごい読書量ですね。
私は、読書は仕事と割り切っているので、一定の時間しか読みません。
開いている時間には、音楽を聞いています。
しかし、こちらのほうも、CDなどを買うペースより聞くペースのほうが遅いので、どんどんたまっていってますcoldsweats01
事務所では、素晴らしい音楽が聴けるシステムがありますよ~たぶん日本一でしょ?
まわりからには、遊んでると見られているのかも‥

投稿: いのぱ | 2008年11月14日 (金) 12時35分

いのぱさんありがとうございます。

一度高知の事務所におじゃましなければ
いけませんね(笑)

職場環境の快適さは重要です。
岡山も快適職場になるよう努力中です。

投稿: 長久 | 2008年11月14日 (金) 14時08分

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