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2008年5月 1日 (木)

思考の冒険に、いざ!

最近読み終えた本。

『免疫の意味論』(多田富雄、青土社、1993年)

免疫学からみた、「自己」と「非自己」とは…。
その観点が新鮮でした。

人間の免疫機能の精巧さとそのネットワーク、
多様性に心底驚く。

が、全体として医学書的な雰囲気で、
(著者ははかなりやさしく書いているつもりだと思うが)
かなり難易度の高い本でありました。
すでに15年前の本でもあるので、最新の免疫に関する
理論を知りたいとも思いました。

ところで、世界的な免疫学者の多田さんですが、
2001年に脳梗塞で倒れ、重度の障害者に。
そのリハビリ記である『寡黙なる巨人』という本を
いま読んでいる最中なのですが、これは、
はっきり言ってものすごい本です。また後日紹介します。


『赤ちゃんの手とまなざし-ことばを生みだす進化の道すじ』
                    (竹下秀子、岩波書店、2001年)


簡単にいうと、
類人猿(チンパンジーやオラウータンなど)の赤ちゃんと、
人間の赤ちゃんの発達過程の比較研究によって、
人間の赤ちゃんの発達の特性を探っている本です。

いろいろと面白い発見がありました。

まず、人間の赤ちゃんが、類人猿の赤ちゃんよりも
得意な(発達が早い)姿勢があります。
それは、“あおむけ”と“おすわり”です。

“あおむけ”の利点は、
他者との対話的なコミュニケーションが可能になること、
「見られ-見る」という関係が成り立つことで、
他者の顔を識別したり、表情で気分を読みとったりする
ことが可能になります。
また、アイコンタクトしながら言語をかわしたり、
物を媒介にしたコミュニケーションの多様性が、
言語発達に関係するらしいです。

これに対して類人猿は、母親への「しがみつき」は
早くから発達します。つまりずっと母親に抱きついて
過ごすわけですが、これでは、母親と「目と目をあわす」
機会が少ないのです。また、手も自由になりません。

“あおむけ”姿勢や“おすわり”の得意な
人間の赤ちゃんは、手を使う自由と機会が拡大します。

“あおむけ”姿勢は、早くから、親から遊びのおもちゃを
与えられたり、“おすわり”は、より2本の腕を意識的に
使いながら、物をいじくることを覚え、1歳ごろからは、
それを道具として使いはじめることができるそうです。

人間は、生まれてからほぼ1年たつと、
 ・直立2足で歩く
 ・物を道具として使い始める
 ・言葉でコミュニケーションするようになる
という発達が見られます。

これらの行動は、いずれも人間と他の動物を峻別する
特性だと考えられているのですが、そのいずれもが
1歳代に発達してくるそうです。

人類進化数百万年の過程を、
赤ちゃんは、生後1年で“かけぬける”わけです。
すごいね…。


『新訂 キラリ看護』(川島みどり、医学書院、2008年)

ソワニエ用「読書日記」、2冊目。

93年に出版されたものの新訂版です。
旧版も2年前に読んでいますが、
新しくいろいろ補筆されています。

看護入門書として、ベストセラーの1冊であり、
すぐれた看護哲学の本でもあります。


『看護を語ることの意味-“ナラティブ”に生きて』
              (川島みどり、看護の科学社、2007年)


ソワニエ用「読書日記」、3冊目。

川島さんの本は、知的刺激が随所に得られるので、
ほんとうに得した気分になります。

「看護への情熱」がほとばしり出る本です。
私たちの運動へ生かせる共通性も
たくさんあるのですが
(「技能の技術化」「実践の言語化」という話など)、
メチャ長くなるのでやめておきます。


『生命(いのち)の感受性』(落合恵子、岩波書店、1995年)

気分転換のために読んだ1冊。
日記風のエッセイです。

やはり、この人の文章、好きだなー。
しなやかで、さわやかで、しっとりで。

共感した言葉。

「自らの感受性と論理性・・・。このふたつ、まったく別もの
のように、andで結んで語ることに、わたしは抵抗がある。
感受性と論理性は分かち難く結ばれた同根の枝ではない
かと思う。あるいは、1枚の葉の表と裏。いや、そうではな
い。もっと密接なもの、もっと重なり合ったものだと思う」

「この感受性と論理性が、『一体化したもの』を磨き、水や
りをし、さらに深めていく・・・。そんな作業を、わたしはわた
しの加齢の時と呼びたいし、そう呼べるような暮らしかたを
したい。丁寧に、けれどラジカルに」


『古典への招待 上巻』(不破哲三、新日本出版社、2008年)

「月刊学習」の連載時も目を通していたが、
雑誌連載は、あいだ、ひと月のスパンが空いてしまうので、
前号までの流れはスッパリ忘れてしまっていて、
1話完結型の読み方になりがちだった。

が、こうして1冊にまとめてもらって、
いろんな注なども加筆されているので、
一気に読むと、文献ごとのつながりや、
マルクス、エンゲルスの理論形成
(上巻では“疾風怒濤の発展”という色合いが強い)
の流れが頭にスッと入ってきて、
とても勉強になった。

ほんとうなら、紹介されている古典をわきに置いて、
文献にあたりながら読めばいいのだけれど・・・。
いつの日か(笑)、「歴史のなかで読む」という読み方を
実際に自分でもやってみたいと思うが、
いまはとりあえずその力量がない。

“革命三部作”もじつは読んだことがない。
パラパラとめくったことはあるけど。
まだまだ未開の領域である。

そういえば、さっき紹介した落合恵子さんの
本の中に、
まだ読んでいない本がたくさんあるということは、思考の
冒険のための未知の地が、わたしのために用意されてい
ることだ
」 というフレーズがあった。

まだまだ未踏の地ばかりの「古典への旅」。
30代のうちに大旅行へ出かけるぞ、
という野望をもたなければ。



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コメント

多田さん、
川島さん、
ナラティブ(ナレイティブ?)
のセンテンスにひかれて、最後まで読んじゃいました。
どれも興味があるものばかり。
帰ったら読みたいです。
か、貸してください。

多田さんの本は私も学生のときに読みました。特に脳機能の本。
ナレイティブは作業療法にもとーーーっても大事なので興味持ってきているところです。

投稿: Nとっしー | 2008年5月 1日 (木) 17時28分

とっしーさんありがとうございます。

もう日本は夏になってます(笑)
北海道はきのう30℃です。
今日はちょっと気温も落ちつきそうですが。

本、貸し出し自由ですので、ぜひどうぞ。
多田富雄さんの『寡黙なる巨人』、
これはほんとーにすごい本です。
療法士の方々には、ぜひ読んでほしいと思います。
感動しっぱなしです。

投稿: 長久 | 2008年5月 2日 (金) 09時26分

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