« 『学習の友』2月号 | トップページ | チュニジアの11日間(7) »

2008年2月 1日 (金)

イチ押し-堤未果・最新刊

最近読み終えた本。

『自然体のつくり方』(齋藤孝、角川文庫、2007年)

齋藤さんの本を読むのは久しぶり。
最近だされているものにはビビッとこなかったんですが、
これはなんとなく「読んでみようかな」と思いました。

「レスポンスする身体づくり」ということが、主題。
つまり、他者との距離関係をつかみ、
会話やコミュニケーションを発展させる技、ということ。

齋藤さんは、「無反応な冷たいからだが増えている」
という危機感をもっていています。
つまり、あいさつをしても、まったく反応がなかったり、
うなずきなどの応答のサインができない身体になっている、と。

私も、人前で話をする機会があるので、
この「応答のあるなし」ということには、敏感です。
うなずきながら自分の話を聞いてくれる人がいれば、
しゃべる側は励まされ、さらなるエネルギーが
わいてくるものです。

また、「アイコンタクトの技化」というのも、
興味深く読みました。
目をあわせるって、やっぱ恥ずかしいですからね~。


『フューチャリスト宣言』(梅田望夫・茂木健一郎、ちくま新書、2007年)

個々の部分での異論や「保留」はありますが、
この本全体をつらぬく思想(未来志向)には、
とてもとても共感しました。

「未来は予想するものではなく、創り出すものである。
そして、未来に明るさを託すということは、すなわち、
私たち人間自身を信頼するということである」

私のブログの方向性も間違っていなかったんだなと、
確信がもてました。もっともっと書くぞ~。


『虚像(メディア)の砦』(真山仁、講談社文庫、2007年)

久しぶりに、なにか小説を読みたくなり、
本屋をぶらついていて、手にとったもの。

去年ハマッタ、NHKの土曜ドラマ『ハゲタカ』の
原作者の小説なので、「はずれはないだろう」と
思ったのですが、やっぱり「あたり」でした。

今度の舞台はズバリ「テレビ業界」。
イラクでの日本人人質事件や、最近のお笑い番組を
題材にしながら、巨大メディアの実相にせまる力作でした。

視点がきちんとしていて、しかも小説としても
おもしろいので、一気に読めます。
テレビの腐敗はまったくすごいものですが、
その再生に情熱をもつ人びとも、存在するのです。

が、この小説にかぎっていえば、
『ハゲタカ』のような、ドラマ化は絶対にないでしょう。
山崎豊子ばりのえぐり方ですから。

もしこの小説がドラマ化されたならば、
それは、本当にテレビという巨大メディアが
真の意味で再生したとき、だと思います。


『ルポ 貧困大国アメリカ』(堤未果、岩波新書、2008年)

「いつでるのかな~」と待ち続けた、
堤未果さんの最新刊。期待どおりの内容でありました。

日本の5年先をゆく、といわれるアメリカの貧困実態。
それはもう、ほんとうにすさまじい。
そして、つくられた貧困層をターゲットにした、
「貧困ビジネス」の跋扈(ばっこ)。

民営化された戦争に、そうした貧困層の若者が
吸収されていく実態もリアルに伝わります。

しかし、堤さんは、市場原理主義の大きな構造に対抗し、
連帯をはじめた人びとの姿にもスポットをあてます。


そして、民主主義には二種類ある、と提示しています。

ひとつは、“経済重視型の民主主義”。
 そこでは、利益や利便性に価値がおかれ、
 国民1人ひとりは、消費者や捨て駒として扱われる。

もうひとつは、“
いのちをものさしにした民主主義”。
 環境や人権、人間らしい暮らしに光をあて、1人ひとりが
 健やかに幸せに生きられる社会を作り出すこと。
 国民は個人の顔や生きてきた歴史、尊厳を持った「いのち」
 として扱われる。


「あとがき」には、堤さんの人間性がかいまみれ、
そのかたい決意は、
私たちの背筋をピンと伸ばすに違いありません。

他にもたくさん学んだことはあるのですが、
それは、今後のいろいろな講義で紹介して
いくことにしたい、と思います。

いまイチ押しのジャーナリストの、イチ押しの新書です。


|

« 『学習の友』2月号 | トップページ | チュニジアの11日間(7) »

読書記録」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 『学習の友』2月号 | トップページ | チュニジアの11日間(7) »