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2008年2月22日 (金)

なくせ貧困!

きのう(21日)は、
2・21地域総行動の日でありました。

晩、
県労くらしきの学習会に行ってきました。
会場は倉敷労働会館、
参加は40名ほどだったと思います。

総行動やお仕事を終えての参加、
ごくろうさまです。

Img_1490


 自治労連、医労連、
 高教組、国労などが
 参加の中心だった
 ように思います。





19時前から、
「なくせ貧困!-人間らしさを求めて」
題して話をしました。

イマイチ調子にのれなかったように
思いますが、なんとかしゃべりました。

以下、講義のレジュメです。



一。日本には、貧困がある。
 
1。貧困とは何か
  
◇まず、「格差」と「貧困」という言葉について
   
*似たような印象をもつ言葉だが、正確に使っていく必要がある
   
*「格差」は、AとBのあいだに相対的な差異や不平等があること
     を意味する。
    
・この言葉が使われはじめた当初は、あきらかな不平等や
     貧困が広がる社会への警鐘として使われていたが、最近
     では「違い」があることをなんでも「格差」と名づけるように
     なった。雇用格差、男女間格差、地域間格差、学校間格
     差、医療格差、健康格差、希望格差・・・。格差の広がりを
     問題とする言葉でもあるが、あいまいさを含む言葉でもある。
    
・ひどいものでは、「最低賃金と、最低生活費(生活保護基準)
     の格差」「国民年金と、生活保護の格差」「生活保護を受け
     ていない母子家庭と、受けている母子家庭の格差」というよ
     うなことも言われ、低所得者どうしの相対的違いにも使われ
     ることがある。下にあわせる「格差是正」?
    ・
したがって、この言葉を使うときには注意が必要。もちろん
     「使わないようにしよう」ということではない。格差の広がりは
     事実としてあるから。
   
*もともと資本主義社会は「格差社会」。社会的な規制・コント
     ロールにより、格差を緩和することはできるが、なくなること
     はない社会。
   
*これにたいして「貧困」は、あってはいけないもの。「ある」か
     「ない」かの勝負になる。「貧困」のある社会を許していいの
    かどうかが問われている。

  
◇では、「貧困」とは何か
   
*公式には、収入や資産が生活保護基準を下回っている状態をいう。
   
*しかし、「貧困」と「ビンボー(お金のない状態)」は違う

     
「何十年も生きていれば、誰にでも10や20のトラブルはある。
     しかし多くの人にとってそれらのトラブルは、雇用する会社の
     保障や家族・親族・友人の手助け、または公的な社会保障な
     どによって衝撃を吸収・緩和される。これを私は“溜め”と呼ん
     でいる」
     
(湯浅誠他編『もうガマンできない!広がる貧困』明石書店、2007年)

   
*金銭の“溜め”、人間関係の“溜め”、精神的な“溜め”
   
*“溜め”のない状態が貧困(湯浅誠さんの定義)。社会的排除。

  
◇「貧困」はなかなか目に見えない
   
*貧困はいろいろな問題の背後に隠れている。しかし表に出
    てくるのは、「自殺者3万人」「多重債務者○○万人」「児童虐
    待」「医療難民」などの言葉。
   
*4重の否認がさらに貧困を見えにくくする
    
①政府の「貧困」隠し ②マスコミ報道
    ③市民の「貧困観」 ④自己否認

 
2。雇用の破壊-「働く貧困層」の大量生産
  
◇非正規労働者の増大-世界第2位の経済大国で「働いても、
   まともな生活ができない」
   
*パート、派遣、契約社員、請負…違法な偽装請負も。
   
*雇用者全体に占める割合は33.7%。3人に1人。
   
*女性では54.1%。若者もほぼ2人に1人の割合。
   
*年収200万円以下が、1022万人(06年、前年比4.2%増)
   
*労働時間や、仕事の役割において、正社員と同じような働き方
    をしている人も多く、事実上の“差別”状態となっている。
   
*「そこのハケンさん」「バイトちゃん」「(服が)青い人こっちきて」
    …同じように労働力を提供している人間に、この差別。人間でな
    く、モノ扱いということも。

  
◇労働分野の「規制緩和」
   
*財界の要求…1995年「新時代の日本的経営」
                      →労働者を3つのグループに
   
*「規制緩和」による派遣労働者の激増
    
1999年「労働者派遣事業法改定
     →26業務に限定されていた派遣業務
を製造・建設など
      一部を除き自由化
       
自民○、公明○、民主○、共産×、社民○ 

    ・2003年「労働者派遣事業法・職安法改定」
     
→製造業への派遣が可能に。派遣期間の制限も緩和。
       
自民○、公明○、民主×、共産×、社民×

   *派遣業界の急拡大
    
・派遣業界の規模は02年度に2兆円を突破し、04年度に3
     兆円弱。05年度は4兆円、さらに06年度は5兆円突破と、
     ここ数年1兆円のハイペースで拡大を続けている。
    
県内の派遣事業所は04年度に368だったが、06年度は
     766に倍増。本年度は11月末現在で967。(岡山労働局調べ)

  
◇公共サービス分野でも、大量の「非正規労働者」への
    置き換えが進んでいる
   
*公務職場で働く非常勤職員は、50万とも60万ともいわれ、
    いまや非常勤職員なしには切り盛りできない職場も多い。
   
*国や自治体による「働く貧困層」の生産。「官製ワーキングプア」。
   
*全国の公立小学校の非常勤講師は、99年度、約4,600人だっ
    たが、06年度には約16,000人と、7年間で3.5倍となっている。
    「生活できないので居酒屋でバイト」というダブルワーク、「生活
    保護を受けながら教壇に立っている」という事例も。
   
*自治体の公立保育園でも、非常勤保育士が激増。サイクルが
    早いために、子どもの「荒れ」や、事件・事故の増加も。介護職
    場と似た状況になりつつある。


 3。生活の危機-社会保障の機能低下・停止
  
◇小泉内閣以降の「社会保障」改悪一覧
                (決定された時期の順。カッコ内は実施時期)
   
02年度】
    
*医療保険制度の改悪(02年10月) 1兆5000億円
   
03年度】
    
*物価スライドによる年金給付額削減(03年度) 3700億円
    
*高齢者の介護保険料の引き上げ(03年4月以降) 2000億円
    
*失業給付額の削減(03年5月) 3400億円
   
04年度】
    
*物価スライドによる年金給付額削減(04年4月) 1200億円
    
*厚生年金・共済年金保険料引き上げ(04年10月)6200億円
           
同上        (05年9月)6200億円
           
同上        (06年9月)6200億円
           
同上        (07年9月)6200億円
           
同上        (08年9月)6200億円
    
*国民年金保険料引き上げ(05年4月) 400億円
           
同上   (06年4月) 400億円
           
同上   (07年4月) 400億円
           
同上   (08年4月) 400億円
    
*生活保護費の老齢加算の廃止(04~06年) 400億
   
05年度】
    
*生活保護の母子加算(16歳以上)の廃止(06年~08年)30億円
    
*介護保険のホテルコスト導入(05年10月) 3000億円
    
*障害者の支援費制度・医療の自己負担強化(06年4月)390億円
   
06年度】
    
*高齢者の介護保険料の引き上げ(06年4月以降) 2000億円
    
*「現役並み所得」高齢者の医療費負担の3割化(06年10月) 
                                      1100億円
    
*長期入院高齢者の「食住費」負担増(06年10月) 200億円
    
*高額医療費の自己負担限度額引き上げ(06年10月) 700億円
    
70~74歳の一般高齢者の医療費負担の2割化
                        (08年4月→1年凍結)1200億円
    
*後期高齢者(75歳以上)医療制度の創設(08年4月)400億円以上
   
07年度】
    
*生活保護の母子加算(15歳以下)の廃止(07~09年度) 270億円

  
◇高齢者(65歳以上)の貧困
    
*高齢者世帯の年間所得の分布でみると、100~200万円未満
     が27.4%で最も多く、100万円未満が15.2%。あわせて42.6%。
    
*国民年金(基礎年金)の月あたり平均年金額は4万7000円。
     20~60歳までの40年間、満額の保険料を支払い、65歳から受
     けとる場合でも月6万6000円。
    
*犯罪検挙者に占める高齢者(65歳以上)の割合が急増
                           (90年2.2%→06年10.9%)
      
・その3分の2が窃盗犯
                (経済的に切羽つまった高齢者の境遇の反映)

  
◇シングルマザー(母子家庭)の貧困
   
*シングルマザーで働いている家庭の平均就労収入は、162万円
    (正規252万、非正規110万)。そこへきての児童扶養手当の削減。
    安い公営住宅の不足も問題。
   
*ダブルワーク、トリプルワーク。過労で健康を害したりうつ病にな
    りやすい。生活保護基準以下の暮しをしていても、生活保護を受
    けていないシングルマザーも多い。
   
*この状況を逆手にとって、生活保護の母子加算の段階的廃止。

  
◇破壊されるセーフティーネット
   
*介護、医療などにかかる負担は増加の一途。受診抑制。
    後期高齢者医療制度。
   
*「年金」とのバランスがとれない? 生活保護の老齢加算の廃止。
   
*生活保護受給世帯は100万世帯を超えて増加しているが、日本
    では、生活保護基準以下で暮らす人全体のうち、実際に保護を利
    用している人の割合(捕捉率)は2割ほど、と言われている(日本政
    府は調査すらしていない)。ちなみに、イギリスの捕捉率は約9割、
    ドイツは約7割といわれている。
   
*生活保護行政の「水際作戦」。日本弁護士連合会が昨年7月に
    実施した生活保護全国一斉電話相談では、福祉事務所が保護を
    断った理由の約66%が違法である可能性が高い。
   
*いまや、最後のセーフティーネットは「生活保護」ではなく、
    「刑務所」に?

  
◇入りこむ、貧困ビジネス
   
*人材派遣・請負会社のターゲットは貧困層。自衛隊の勧誘も
    貧困層狙い?
   
*金のない人に金を貸す消費者金融(それを支える銀行)
   
*宿泊者を見込んでいるネットカフェ
   
*人間関係の“溜め”の少ない人ほど、ギャンブルにはまる。

 
4。「自己責任」論は、貧困を生みだした責任を「個人」に転化する攻撃
  
◇貧困を生み出したのは誰か-敵を見誤らない
   
*非正規労働者を大量に生み出し、使い捨てにしているのは誰か
   
*大企業への減税と引きかえに、社会保障をぶっ壊してきたのは誰か

  
◇EU諸国では、政治の責任で「貧困と格差」の解消に努力している
   *
たとえ
ば、EU全体で、最低賃金の水準を、労働者の平均賃金の
    50%にすること、将来的には60%に引き上げることを決めている。
    日本の最低賃金は、平均賃金の約3割。EUは雇用形態による
    差別も禁止。


二。貧困に立ち向かう新たな労働運動を
 
1。貧困に抗するネットワークづくを
  
◇さまざまな団体・組織との協力・共同
                    -つながり、支え合い、声をあげる
   
*労働運動だけでは、この問題は解決できないが、労働運動が
    反貧困運動の中心にならなければ、解決は難しい。

 
2。「金よこせ!」-税金の集め方と使い方にキレよう
  
◇大企業や資産家は巨大な利益-しかし減税
   
*大企業(資本金10億円以上)…97年と比較した06年の数字
    
・経常利益15.1兆円→32.8兆円(2.17倍)
    
・納めた税金(法人税・固定資産税ふくめ)は12.1兆円→13.7兆円
     
法人税の減税などの効果
    
・株の配当金は約4倍
   
*「ここからとれ!」-大企業や大資産家への優遇を見直すだけで
                 
8兆円の財源
    
・大企業の法人税・法人事業税の税率引き上げ(約4兆円)、研究
     開発減税など優遇税制の見直し(約2兆円)、所得税・住民税の
     最高税率引き上げ(
0.5兆円)、証券優遇税制の廃止(約1兆円)、
     相続税その他資産家減税の見直し(0.5兆円)。

  
◇軍事費をカットして、庶民にまわせ!
   
*社会保障費の自然増分を毎年2,200億円削りながら、逆に、こち
    らも毎年2,000億円をこえる米軍への思いやり予算は温存。米軍
    再編費用に3兆円!?
   
*事故を起こしたイージス艦は1隻1400億円(自衛隊は6隻保持)
   
*重すぎて普通の道を走れない対ソ連用戦車は1両8億円
     (現在330両保持)

 
3。旗印は「憲法どおりの国や地域、職場を」
  
第13条
    
「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福
    追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない
    限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」


  
◇25条~28条は「社会権」=国家に、基本的人権を支える義務を課す

   
*第25条
    
「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利
    を有する

    
②国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び
    公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない

   
*第26条
    
「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、
    ひとしく教育を受ける権利を有する
    
②すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する
    子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これ
    を無償とする」

   
*第27条
    
「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
    
②賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、
     法律でこれを定める
    
③児童は、これを酷使してはならない」
     
     
<労働基準法第1条>
     「
労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための
    必要を充たすべきも
のでなければならない」

   *
第28条
     
「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動を
    する権利は、これを保障する」

    
・使用者は、個別の労働者との話し合いを拒否しても違法性は
     ないが、労働者が労働組合に加入して団体交渉を申し入れれ
     ば、団体交渉に応じなければならない(拒否すれば不当労働
     行為となる)。労働者は、労働組合に入ることで、「28条」と書
     かれた経営者をひるませる印籠(いんろう)を手にすることが
     できる。団体交渉権を最大限生かした社会運動を。「勝率9割
     9分」(首都圏青年ユニオン)。

    
・もっと大きい意味でいえば、日本国憲法は、基本的人権の担い
     手・守り手として、労働組合という組織に期待をしている、という
     こと。「これを保障する」は「これを応援する」という意味あい。

    
・「労働組合」という武器を手にいれ、反撃を開始した若者たち
     
首都圏青年ユニオン、各地に生まれる1人でも加盟できる青年
     ユニオン。キャノン、松下プラズマ、光洋シーリングテクノ、偽装
     請負大企業の内部からの闘い。立ち上がる青年たち。昨年
5月
     20日の青年雇用大集会に3300人。
     
ネットの活用が新しい可能性をひらいている。ブログで労組結
     成(紳士服コナカ)、国家公務員の非正規労働者の組織化に
     「がぶり寄り」。

 
3。この運動がもつ可能性
  
◇若者と女性が参加する新しい運動

     
「“反貧困労働運動”は、貧困層を組織対象とするために、こ
     れまで労働運動が十分に意識してこなかった課題に直面して
     いくだろう。しかしながら、この困難をさまざまな社会運動と連
     携するなかで克服し発展するならば、貧困根絶の重要な社会
     運動となることは間違いない。“反貧困労働運動”は、非正規・
     低処遇正規の若者、女性が中心にならざるを得ず、この運動
     が成功するならば、既存の労働組合運動に大きなインパクトを
     与えることだろう」(河添誠「貧困に立ち向かう新たな労働運動」、
     『もうガマンできない!広がる貧困』所収)

    
*連合と全労連の2つのナショナルセンターも、非正規労働者の
     組織化に本腰。

  
◇薬害C型肝炎のたたかいに学ぶ
                  -全国原告団代表の山口美智子さん

     
「ここまでこれたのも、私たちが肝炎被害者全員の被害回復
    を訴え続けてきたからこそだと思っています。学生たちにも広が
    った大勢の支援者に励まされ、世論の高まりが後押ししてくれま
    した。もし、原告だけの救済を訴えていたなら、とてもここまでた
    どりつけなかった



さいごに:「貧困」と「25条」のガチンコ勝負!
      
そして、25条といえば、岡山・倉敷なんです。
      
*憲法25条の1項は、純日本製。その立役者は?
      
*憲法25条に生命をふきこんだ歴史的たたかい-朝日訴訟



以上。


きのうは、お昼にあった昼デモにも参加しましたが、
シュプレヒコールの1番最初が、
「消費税増税はんた~い」でした。

「え、いまこの瞬間の1番最初の叫びがそれかぁ?」
と、率直に思いました。

もちろん消費税増税は許してはなりませんが、
少しズレを感じる昼デモでありました。
そう感じたのは、ボクだけかな~。



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