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2008年1月16日 (水)

出雲地域労連旗びらき

きのうは島根県の出雲へ講師に行ってきました。

14時50分岡山発の「やくも」に乗り、
18時03分に出雲市駅に到着。

改札口を出ると、『学習の友』を掲げる
S田さんの姿が(初対面なもので)。
ほんとうに『友』を目印にするなんて(笑)。

車で5分ほど行くと、会場に着きました。

この日の主催は
出雲地域労連
08年の旗びらき&春闘情勢学習会でした。

Img_1433

 始まる前の様子。

 講義が始まる
 ころにはほぼ埋まり、
 34名の参加でした。

 若い人も多く、半数が
 女性の参加者でした。


「春闘情勢と私たちのたたかい」と題して、
1時間10分程度話をしました。

「春闘情勢」といえるかどうかわからない
内容でしたが、みなさんよく聞いてくださいました。
参加は医療・福祉関係者が多かったようです。


以下、レジュメの概要。
どこかで使ったものも多いですけど…。



はじめに:簡単に自己紹介


一。「あきらめ感」という見えない敵
 
1。堤未果「手渡せるものとは」(『婦人通信』08年1月号-資料参照)


   「自分の中にある無力感や『変えられないのでは』という
   恐怖に屈して口をつぐんだ時、私たちは初めて負けるの
   だ。そして大人が自ら舞台をおりてしまった時が、子ども
   たちにとって『絶望』の始まりになる。美しい言葉などなく
   とも、私たちがあきらめないことが子どもたちに『未来を
   選び取る自由がある』と示すことになる。次世代に手渡
   せるものとして、これほど貴いものはない」

 
2。あきらめない人間のたたかい-人間裁判・朝日茂(資料参照)

   
「生粋の庶民といってよい朝日茂さんが、なにゆえに、歴
   史上数ある英雄も顔負けの勇気と果敢な意志、不撓不屈
   の粘りをもって、その短い後半生を『権利は闘いとるもの』
   という理念に捧げたのか。その力の源は、要するに、一方
   での人間らしく生きる権利にたいする深い洞察と、他方で
   の『合法的殺人』と呼ぶべき非人間的な生活を強いる国家
   権力に対する怒り、この二つに求められる。朝日さんは、
   普遍的人権に対する洞察と確信が非人間的生活を強制す
   る権力と衝突し、そこに発する火花を生きる力として50年
   の人生を生き抜いた。これは、21世紀に生きる一人ひとり
   の個人が、いかにして生きるべきかを問うときに、一つのヒ
   ントを提示するものにほかならない」
   (二宮厚美「朝日訴訟が現代に問うもの」、『人間裁判』所収)

  
*現状にたいする「怒り」だけでは、たたかいの原動力としては半分の力



二。働く人びとの現状から
 
1。貧困をなくすたたかいを
  
◇つくられた貧困と格差(差別)
   
*働く貧困層の増大。
働いているのに生活保護水準以
    下で暮らす家庭は日本の全世帯のおよそ
10分の1。
    400万世帯とも、それ以上とも言われる。ワーキングプア。
   
*民間労働者給与は9年連続の減
   
*非正規労働者の激増(いまや3人に1人)。若者や女性は2人に1人。
    
・パート、派遣、契約社員、偽装請負・・・「声をあげる」ことの困難さ
    
・年収200万円以下がついに1000万人をこえる
   
*貯蓄残高ゼロ世帯は全体の22.9%(96年は約10.1%)
   
*イギリスのレスター大学の世界幸福度調査で、日本は178か国中
    の90位。1位デンマーク、2位スイス、アメリカ23位、ドイツ35位、
    イギリス41位。先進国の中では日本が最下位。

  
◇カテゴリーとしての「貧困」をみる視点。
   
*一人ひとりの具体的な貧しさと人間の尊厳の破壊をつうじて、
    「貧困」をとらえる。
   
*「数字では見えてこないもの」をみる、意識的努力を。
    「痛み」を想像する力。
    
・「おにぎりが食べたい」と書き残して餓死した北九州の男性
    
・ノーベル経済学賞を受賞したアマルティア・センが、“人間らしい
     生活”を営むための「7つの指標」をあげている。
     
①十分栄養をとる
     ②衣料や住居が満たされている
     ③予防可能な病気にかからない
     ④読み書きができる
     ⑤移動することができる
     ⑥社会の一員として社会生活に参加できる
     ⑦恥をかくことなく人前に出ることができる

  
◇貧困の罠-私は無関係といえるか(セーフティーネットの破壊)

 
2。長時間労働が蝕(むしば)むもの
  
◇はてしない残業と長時間労働-労働時間の規制緩和と成果主義
   
*日本は残業規制なし。サービス残業のまんえん。ドイツや
    フランスでは年間労働時間は、1600時間前後。日本の平
    均は2200時間。1週間あたり12時間も多く働いている。
    働きすぎ。「カローシ」は国際用語に
    
・男性労働者の平日の平均帰宅時間
     (東京) 20時49分(女性18時52分)
     
ちなみに、スウェーデンは17時11分(女性16時37分)
   
*有給休暇の平均取得率は50%をきる。
   
*約140年前のイギリスの工場監督官の報告
    
「それら(工場法:労働時間を規制する法律)は、彼ら(労働
    者たち)を自分自身の時間の主人公にすることによって、彼
    らがいつかは政治権力を掌握するにいたることを可能にす
    る精神的エネルギーを彼らに与えた」(『資本論』第8章)

  
◇悪化する労働者の健康(資料参照)
   
*50人以上の企業の労働者の健康診断では、90年に23.6%
    だった有所見率は年々増加し、2006年には49.1%と2倍以上。
   
*中小零細企業や自営業者などの健康悪化はさらに深刻。
   
*メンタルヘルス問題

 
3。大企業や資産家は巨大な利益-「利益の寡占化」
  
◇大企業(資本金10億円以上)…97年と比較した06年の数字
   
*経常利益15.1兆円→32.8兆円(2.17倍)
   
*納めた税金(法人税・固定資産税ふくめ)は12.1兆円→13.7兆円
    
・法人税の減税などの効果
   
*株の配当金は約4倍
  
100万ドル(約1億2300万円)以上の金融資産を持つ
   日本国内の「富裕層」は、06年の1年間で5・1%増加し、
   147万人となる(米証券大手のメリルリンチ調査)。増加
   率は、05年(4・7%)を上回る。

 
4。貧困と格差・労働者の状態悪化は、計画的に生み出された
  
◇財界の要求
   
1995年「新時代の日本的経営」→労働者を3つのグループに
  
◇労働法制の連続改悪-どの政党が賛成してきたのか
                             (○=賛成、×=反対)
   
1998年「労働基準法改定」→裁量労働制・変形労働時間制の導入
     
自民○、公明○、民主○、共産×、社民○
   *1999年「労働者派遣事業法改定」 
26業務に限定されていた
     派遣業務を製造・建設など一部を除き自由化
     
自民○、公明○、民主○、共産×、社民○
   *2001年「雇用対策法等改定」→リストラすれば企業に減税
     
自民○、公明○、民主○、共産×、社民×
   *2003年「労働者派遣事業法・職安法改定」
    
→製造業への派遣が可能に。派遣期間の制限も緩和。
     
自民○、公明○、民主×、共産×、社民×



三。政治の罪の告発を-対抗軸としての日本国憲法

 
1。政治の罪の告発を-新しい情勢的変化をふまえて
  
◇小泉自公政権での国民負担増の一覧(資料参照)

  
◇参議院選挙後の新しい情勢
   
*参議院での与野党逆転-悪法の強行採決が難しくなる
   
*「大連立」「政界再編」の動きはあるが、基本的には2010年
    夏まで参議院でこの状況は続く。戦後初の状況。
   
*国民的なたたかいの前進で、政治に声が届く条件が
    切りひらかれている
   
*そして今年予想される総選挙

  
◇暮らしのための財源はある!

 
2。国民支配のグーとパーとたたかう
  
◇力(経済権力・立法権力・警察権力)による支配
   
*岩国市に対する締めつけ
   
*政党ビラをマンションに配っただけで有罪
  
◇イデオロギーによる包みこみ
   
*強固な自己責任論包囲網
   
*国家財政が破綻しますよ、企業が倒産しますよ、
    国際競争に負けますよ
  
◇グーとパーで「あきらめ・無力感」「労働者どおしの分断」を育てる
   
*学ぶ活動の強化なしには、資本の攻撃に対抗できない

 
3。あらゆるたたかいの旗印として、日本国憲法を
  
◇私たちが「人類」から「手渡されたもの」



四。たたかい・運動におけるサイエンスとアート
 
1。正しいだけではダメということ…サイエンスとともにアートを
  
◇サイエンス・・・科学的判断、分析
   
*労働組合の果たす役割、情勢の特徴、科学的な政策・たたかいの方針

    
「わかるけど、やる気がしない、行く気がしない」をどう考えるか
    
・認識論の問題・・・「わかってない」(本当には納得してない)という問題
    
・感性(五感)での共感という問題

  
◇アート・・・伝える力、生み出す力の総合力
   
*「理性」と「五感」に響かせる
   
*情報受信・伝達力、チラシやニュースづくり、ホームページ・ブログ
   
*言葉で勝負する。相手に伝わる言葉かどうか。
   
*オルグ力(話し方、聞き方、空間、時間)、会議力、事務所力
   
*豊かな仲間の存在、ヒューマニズム=微温(あたたかさ)

 
2。学ぶ活動をドカンと真ん中にすえる
  
◇学ぶことで、個人と集団の力量をたかめる
   
*継続性と目的意識性。すぐに効果に表れないのが学習活動。
   
*しかし、これをオロソカにすると、組織は壊死(えし)にいたる。
   
*「人を集めないと」という脅迫観念をすて(もちろん大人数のほ
    うがよいが)、少人数からでも実践していく。時間はこじあけて
    つくる。誰かがリードしないと学習活動はすすまない。
  
◇勤労者通信大学で学ぼう、『学習の友』を読もう


以上。

レジュメをつくりながら、
これは1時間ちょっとで話すのは
無理だな、と思いましたが、
予定どおり無理だったので、
後半はかなりはしおってしまいました。



Img_1435_2 
 講義終了後は、
 交流会ということで、
 ケーキを食べながら
 職場状況や講義の感想
 などそれぞれひと言ずつ
 スピーチをしました。

交流会終了後、出雲市駅前のホテルまで
送ってもらい、きのうは出雲泊。
今日のお昼に岡山に帰ってきました。

3日ほど前からひいていた風邪が
講義に影響するか心配でしたが、
無事に終えることができ、ホッとしました。


出雲のみなさんありがとうございました。



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