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2008年1月26日 (土)

「やっぱり前文はすごい」

今日の午前中は、これで3回目となる、
民青同盟の学生班対象の有志学習会

今回も、前回とほぼ同じメンバーで、
岡山大学の4人が集まりました。

さいしょに、予告していた
チュニジア話を写真を見せながら
ざっとしてみました。

で、学習の中身は、前回、
「憲法の9条はある程度知っているけど、
他の条文や全体も学びたい」という声をうけて、
「憲法の心を読みとく」という題で、1時間半ほど
話をしてみました。


以下、中身の概要。


一。日本国憲法のどこが“すごい”か
 
1。世界トップ水準をゆく、豊かな人権規定
  
◇日本国憲法で好きな条文は?

  
◇憲法で、もっとも大事な考え方が書かれている条文は何条か

  
◇日本の戦前の体制との対比で、人権条項もつくられている
   
*政教分離原則、学問の自由、男女平等、
     刑事被告人・被疑者の人権規定
etc

  
◇日本国憲法の柔軟性・開放性-「ドラえもんのポケット」が2つも
   
*13条は、具体的な権利を書いたものではなく、
    一般的で包括的な規定
    
・社会の現実に応じて新たな人権が必要になったとき、それを
     「ドラえもんのポケット」である13条から引き出すことができる。
    
・憲法は、環境権、プライバシー権などの「新しい人権」を、条文
     の追加によってではなく、包括的な人権規定である13条(ある
     いは25条)などの解釈を通じて具体化していく体制を整えている。

   
*もうひとつのポケット-98条2項
    
・国際的な人権の確立・進歩を、日本国内に取り入れることの
     できる開放性をもつ
    
・例えば「子どもの権利条約」や「女性差別撤廃条約」など

 
2。日本国憲法をフィルターにして、現代日本をみる
  
◇日本社会の現実は、まったく憲法どおりではない
   
*憲法遵守義務をもつ権力担当者による「犯罪」とも言うべき社会状況

  
◇理想こそが、現実を変える力をもつ

     
「理想とは、最も現実的な理(ことわり)に基づいて現状を
    分析し、そこから推論してこの現状をどのように、かつどの
    方向にもっていったらいいのかを思い描くことなんですよ」
        
(小森陽一・姜尚中『戦後日本は戦争をしてきた』
                           角川
oneテーマ21、2007年)

 
3。9条と前文の、世界に先がけた「考え方」
  
◇9条-あらゆる戦争の放棄、戦力・交戦権の否定
   
*9条1項は、国連憲章がもとの考えになっている
    
・このレベルの規定は、他の国の憲法にも存在する(資料参照)
    
・しかし、戦争はなくならなかったし、軍隊はなくならなかった
     
→日本国憲法には、戦争や軍隊に関する規定がまったくない

   *9条2項までふみこんだのはなぜか
    
・大きな時代的背景は、甚大な被害と犠牲を生み出した、
     日本の侵略戦争の反省
     
→日本はアジアで何をしてきたのか(資料参照)

      
「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こらないようにする
     ことを決意」
(前文)したのが、憲法の原点

    
・また、①天皇制の存続、②沖縄の基地化とのセットで、9条は生まれた
     
→これは、戦後日本の弱点を生み出す要因になった

  
◇前文の考え方
   
*どうやって日本の平和を守るのか-「諸国民の公正と信義に信頼して」
   
*人権として「ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに
    生存する権利」(平和的生存権)を規定。しかも、「全世界の
    国民が」としているのがすごい。


二。改憲のねらいと、自民党「新憲法草案」
 
1。いぜん、靖国派が多数をしめる福田内閣

 
2。自民党の新憲法草案
  
◇そのポイント
   
①侵略戦争の反省を前文からスッパリ消している
   
②自衛隊を海外でアメリカと戦争をする軍隊につくりかえる
   
③国民へは責任や義務をおしつけ、基本的人権は「お上の許す範囲で」
   
④憲法改正のハードルを低くし、さらなる改憲をねらう

  
◇「現行憲法が変えられた社会」では、何が起こるのか-想像力を
   
*自衛隊がイラク人を殺せるようになる(アメリカの戦争に加担)
   
*「公の秩序の維持」という名目で、自衛軍が国民に
     銃を向けることが可能。
   
*彼らの言う「愛国心」を強制される。基本的人権も制限。
   
*行政サービスの費用は住民が負担せよ。



さいごに:「信託」(97条)の意味
      
「9条に、いま恩返しを」(堤未果)


以上。


感想交流では、

憲法の前文の考え方のすごさに感動したという
意見が出されました。
また、日本の加害の事実について「たしかに教え
られていないし、知らない」という声が。

ということで、来月は、日本の侵略戦争の
おおまかな全体像について学習することになりました。



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コメント

今日はありがとうございました!
小さな集まりですが、毎月の私の密かな楽しみになっています。
憲法って日本人の決意と希望がつまっているなぁ、と改めて感じました。これを多くの人に知って実感してもらわねば‥!

来月の学習会も楽しみにしています。
こっそり参加を広めていきたいな‥

投稿: まなべ | 2008年1月26日 (土) 16時36分

まなべさんありがとう!

日本国憲法は学べば学ぶほど好きなるという、
「奇跡の憲法」です。
この高い理想の力で、現実を一歩一歩変えていきましょう。

では、こっそりと参加がひろがることを願って…。
いまの人数でもかなり楽しいですけどね。

投稿: 長久 | 2008年1月26日 (土) 17時16分

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