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2007年9月 2日 (日)

サイエンスとアート

土曜日(1日)は広島県労働者学習協議会
89期ひろしま労働学校のプレ学習会に講師で行ってきました。

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 会場は労学協事務所。

 参加は13名(だったと思う)。
 多彩な顔ぶれでした。

 講義の最初の参加者紹介で、
 私のブログが意外な人たちに
 読まれていることを知り
 ビックリでございました。

14時から休憩をはさんで16時半近くまで
「サイエンスとアート」というタイトルで
おもに学習運動とはなんじゃらほい、ということを
時間超過で(笑)話をしました。


以下、講義の内容。
学習運動論の部分については私論もふくまれていますので、
その点はご了承くださいませ。

一。私と学習運動

 1。学習運動との出会い
  
◇1994年5月から(当時19歳)
   
*第48期岡山労働学校「入門教室」のチラシが目にとまる
   
*そのころ、自分自身や社会への見方はどうだったか
   
*労働学校に足を踏み入れて
    
・学ぶことのここちよさ、さまざまな人との出会い
   
*94年秋の49期「初級教室」で、科学的社会主義の
    理論に本格的に出会う
   
*95年に勤労者通信大学「基礎コース」を受講する。

    
・そのころの自分の変化を表現するピッタリの文章
    
     
「世界をあるがままのゆたかさでとらえうるような、そんな
    目を私たちはもちたい。ゆがんだ眼鏡は、世界をゆがんで
    見せる。私たちは、ちゃんとした眼鏡がほしい。哲学への要
    求がそこからはじまる。・・・ちゃんとした眼鏡をかけたことの
    ある人は知っていよう、はじめてそれをかけたときのことを。
    
それまで、木の葉はぼうっとかすんで見えていた。木とはそ
    んなものだと思っていた。が、眼鏡をかけたとたんに、木の
    葉の一枚一枚が、したたる緑とあざやかな輪郭をもって目
    にとびこんできた
。世界がそのあるがままの新鮮さで私たち
    に迫ってくる、そんな眼鏡を求めて、私たちは哲学にむかう
    のである」
        
(高田求『人間の未来への哲学』青木書店、1977年)

   
*第50期岡山労働学校(95年5月)から運営委員となる
   
*7月に「専従者にならないか」とお誘いを受ける
    
・15分間のすえの決意
    
・自分の可能性への楽しみ

  
◇1998年4月
   
*専従者としての歩みをはじめる

 
2。プロジェクトG‐岡山県学習協のあゆみから
  
◇学習運動をつくり育ててきた魅力的な人びと
  
◇確信になる塚田寿子さんの言葉



二。大衆的学習教育運動と労働学校の役割
 
1。階級闘争の3つの側面
  
①経済闘争
   
*労働者がおかれている客観的状態から生まれてくる経済的
    要求(賃上げ、雇用、時短、労働条件など)をかちとるために、
    個々の資本家や資本家団体などを相手として行うたたかい。
   
*経済闘争は、もっとも広範な労働者が参加できる闘争で、今
    日のような厳しい 職場環境のもとでは、大変重要なたたかい
    となっている。

  
②政治闘争
   
*今日の社会では、経済闘争のみでは解決できないさまざまな
    問題があります。賃金がなぜ上がらないのかを考えれば、自
    明のこと。
   
*賃上げや、雇用の確保をかちとるには、どうしても国や地方
    の政治を変えていく、政治闘争を行わなければならない。社
    会保障の充実や、労働時間の法的規制、医療福祉制度・政
    策の改善を求める政治運動を経済闘争とあわせておこなわ
    なければ、私たちの要求は前進しないのが、今日の社会状況。

   *政治闘争とは、政府や自治体を相手に法律や制度・政策など
    を改良させるためのたたかい、憲法改悪反対、平和と民主主
    義を守るたたかい、そして、労働者・国民本位の政治を実現す
    る政府をつくるたたかいのこと。

  
③思想闘争(学習教育活動)
    
*経済闘争や政治闘争は、思想闘争とあわせてすすめなけ
     れば、前進できない。
    
*日本の教育制度のゆがみ、高度に発達したマスコミの影響力
     
・支配階級の考え方が、マスコミなどをつうじて、日々浸透していく。
      
「ある時代の支配的な諸理念は、つねにただ支配階級の
      諸理念にすぎなかった」
(マルクス、エンゲルス『共産党宣言』)

     ・体は労働者でも、頭は経営者。
      政治への傍観的な態度(マスコミの影響)。
     
・「自己責任」「勝ち組・負け組」という考え方はどこから広がっ
      たか?
     
・ゆがんだメガネ、くもったメガネを国民にかけようとする
      -真実のメガネを
    
*思想闘争は、自分自身の矛盾の質を高める
     
・『学習の友』83年10月号「活動を楽しく続けるために」(中田進)より
      
「初心にかえる――とは、もう一度スタートラインに逆もどりする
      ことではありません。苦難にみちた実践をくぐりぬけ、『変革』の
      むずかしさと重要性を深いところで理解したその新しい地点から
      の“出発”であり、あらたな飛躍へのステップ台ともいえるでしょう」

    
【思想闘争を担う諸組織】
     
・科学的社会主義の政党
     
・民主的な研究機関
     
・労働組合、民主団体
     
・学習運動組織
      
特徴→思想闘争の専門組織であると同時に、運動組織ということ


 2。大衆的学習教育運動とは
   
◇その立場

    *「科学的社会主義の立場に立って、哲学、経済学、労働運動
     をはじめ、たたかいと運動に必要な基礎的理論、内外の政治・
     経済情勢などの学習・教育活動を行なう」
     
・科学的社会主義の立場とは-「解釈」ではなく、実践&変革の立場
    
*科学的社会主義とは
     
・人類知識の総和
      -その柱は、哲学・経済学・社会変革の道すじと方法
     
・したがって、スッとわかるようなものではない

      「労働者にとって学習とはつらいものです。とくに身体が毎日ク
      タクタになるまで働かされ、そのうえ、本を読むことに慣れてい
      ないのですから。しかも科学的社会主義は、けっして理論的に
      浅いものではなりません。それは、…人類の諸科学の総合的
      成果をあますところなく受けついだものなのです。いわば一度
      にパッとわかる、という具合にはいかない相手なのです」
      
(畑田重夫『新版 現代人の学習法-社会科学を学ぶ人のために』
                                 学習の友社、
1992年)
     
・それだけ、わかったときの喜びは大きい

   
◇その主な内容
    
*当面するたたかいの課題、情勢をきりひらくための学習
    
*働くこと、生きること、人間らしさなど、根源的な問いかけに
     こたえる学習
    
*労働組合論、日本国憲法の学習
    
*科学的社会主義の理論

   
◇その形態
    
*昔は「職場に『友』を、地域に労働学校を、活動家に勤通大を」
     と言われた。
    
*それぞれの役割は各県の運動状況・条件によってことなるし、
     不変ではない。
    
*集団学習を組織するのが学習運動の基本形態
     
・集団学習と独習のよしあし-『学習の方法』(高田求)参照

   
◇担い手を生み育てる-労働運動をはじめ、民主的なさまざまな
    運動組織への貢献
    
*学習運動は、社会を直接変える力はもたないが、社会変革の
     担い手をつくり出すという重要な役割をもった運動ということ。
    
*どんなにすばらしい運動をしていても、次の担い手をつくりださ
     なければ、その運動はいずれなくなっていく。

 
3。学習運動における労働学校運動の役割と魅力
  
◇入口として
   
*学習の形態としては一番入りやすいのが、講義形式。
    聞くだけでいい。
   
*したがって、学習運動へふれる最初のきっかけとなることが多い
   
*労働学校が継続的に開催できている学習組織は、相対的にみて
    活動が元気
   
*学習運動の魅力を肌で実感した人は、次の組織者になり得る

  
◇労働学校の魅力は何か
   
*70期岡山労働学校「経済学教室」修了アンケートより
    
・「たくさんの人と学べること。いろんな人と勉強すると、自分とは
     違う視点や体験を聞くことができ
て、勉強になります」(25才、男性)
    
・「やっぱり、継続して学べること。そして、人との出逢いがあること
     だと思う」(28才、女性)
    
・「スルメのように噛めば噛むほど味がでるように、来れば来る
     ほど目から鱗が
ぽろぽろと…」(25才、男性)
    
・「人と人つながりが増える」(24才、男性)
    
・「教科書にはのっていないこと、普段教えてもらえないことが、
     具体的に分かりやすく教えてもらえる。
世の中の本質が分かる
     (48才、女性)
    
・「いろんな人と会って話ができる。今回は職場のお話をいろいろ
     聞けておもしろかったです」(20才、女性)
    
・「今回が初めてだったので、世界が広がりました。聞いたことの
     ある話、聞いたことのない話、色々と。新しい人との話もたくさん
     あって、新しい世界が広がりました」(40代、男性)
    
・「色々な個性がある人に出会え、週1回という限られた時間では
     あるけれど、
色んな話ができること」(38才、男性)
    
・「いつでも何歳になっても学習できる!色んな人が集まってくるの
     で、
色んな考え、ものの見方の角度の違いに触れられる。みんな
     で楽しく学習できる!」(24才、男性)
    
・「いろんな職業の人たちに出会えること!」(23才、女性)
    
・「年齢・職種の幅をこえたいろんな人と知りあえる。いろんな考え
     に触れることができる
」(23才、女性)
    
・「色んな人に逢えて、色んな事が学べる! 仕事場、学校以外で、
     年に関係なく、仲良くなれて。
さまざまな考えにふれることで、自
     分の考えの幅が広がる
」(28才、女性)
    
・「継続的に学べるところ。講義のすぐあとに人と意見交換ができる
     とこ。1人ではなかなかできません」(22才、女性)

   
学びの力 交流の力 仲間の力

    ・どれも大切にする、どれも軽視しない
    
・10講義程度の期間があるために、可能なこと

  
◇自分と仲間の成長に出会える運動
   
*『学校』と名づけている理由-「○○講座」ではない
   
*2か月間で受講生が目に見えて変わる経験
   
*学ぶ仲間の存在が、学習の効果を高める

  
◇募集を困難にしている要因は、絶対的な壁か
   
*金がない、時間がない、元気がない。労働組合の課題になりにくい。
   
*本物を見抜く目は、若者自身が持っている。さまざまな壁をのりこ
    える努力をするだけの価値ある運動・組織を、わたしたちがつくりあ
    げられるかどうか。

 
4。学習運動を主体的に担う人びとのタイプ
  
①職場や他の組織・運動に根をはりつつ、自分の持ち場で学習運動を
   広げる人
  
②職場や他の組織・運動に根をはりつつ、自分の持ち場で学習運動を
   広げつつ、学習組織の運動にも役割を担う人(ほとんどいない)
  
③他の組織・運動はそこそこに、学習組織の運動にもっぱら足をつっこ
   み、がんばる人
  
④もっぱら足をつっこむほどではないが、「なにか力になりたい」と学習
   運動に力をかしてくれる人。
  
⑤専従活動家
   
*こうしたタイプがバランスよくいる学習組織は強い
   
*現状は、どのタイプも少なくなってきている
   
*「学習運動とは」を浸透させる努力が学習組織の側にも必要


三。私たちの運動におけるサイエンスとアート
 
1。サイエンスとアート
  
◇サイエンス・・・科学的判断、分析
   
*労働組合とは、情勢の特徴、科学的な方針
   
*科学的なものの見方

    
「わかるけど、やる気がしない、行く気がしない」をどう考えるか
    
・認識論の問題
     …「わかってない」(本当には納得してない)という問題
    
・感性(五感)での共感という問題

  
◇アート・・・伝える力、生み出す力の総合力
   
*「理性」と「五感」に響かせる
   
*情報受信・伝達力、チラシやニュースづくり、ホームページ・ブログ
   
*言葉で勝負する。相手に伝わる言葉かどうか。
   
*オルグ力(話し方、聞き方、空間、時間)、会議力、事務所力
   
*豊かな仲間の存在

 
2。背中がピカピカ光る魅力的な人間、人間集団に
  
◇『学習する組織-現場に変化のタネをまく』
                     (高間邦男、光文社新書、
2005年)
   
*著者の高間氏が、NTT東日本の法人営業本部の役員に、イン
    タビューしたときのこと。「戦略は何ですか」と聞いたら、「学習機
    会をつくる」というのが答えの一つとして返ってた。「学習機会とは
    何ですか」とふたたび聞いたところ、その役員は、「それは
ピカピ
    カ光る背中を持つ人間の周りをウロウロできること
ですよ。しかし
    問題は、ピカピカ光る背中を持つ人間が法人営業に20人しかい
    ないことかな」と言ったそうです。
    
著者はその答えに驚かされて、また納得し、こう書いています。
    
「人は自分の接する社会、つまり周囲の人や本、インターネット、
    様々な経験などから主体的に学習する。その中でも
他者との相
    互作用から一番多くを学ぶ
と私は思う」「今の若い人たちは、子
    供の時分から学校を出るまでの成長過程で接する人物の数が、
    昔よりも少ない傾向にある。・・・その結果、客観主義による勉強
    はしてきたが、
人々との相互作用で行われる社会構成的な学習
    機会が少ない
ので、社会性が低くなる傾向があるのではないだろ
    うか」「
問題は、ピカピカ光る背中を持つ人間に運がよくないとめぐ
    り合えないことである


    
“ピカピカ光る背中を持つ人間”とは、「あんな人になりたいなぁ」と
    いう、目標や目当てになる存在であったり、「あの人がいるとほん
    とうに場が明るくなる」ような人であったり、「なんでも話を聞いてく
    れる人、適切なアドバイスをしてくれる人」であったり。


さいごに:広島労学協の存在は、岡山で活動している私の励みでもあり
      ます。今後もお隣どうし、刺激しあいながら、交流しあいながら、
      がんばっていきましょう!



以上。


講義後の質問・感想交流も楽しかったです。
岡山でもこういう場をつくらねばなー。

どうもみなさん長時間おつかれさまでした。


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コメント

広島で話してきてくれたんだね。ありがとう。レジメは倉敷で話すことの参考にさせていただきます。二重にあんがとさん

投稿: ふとめしんど | 2007年9月 2日 (日) 20時46分

ふとめしんどさんありがとうございます。

広島楽しかったです。
倉敷のセミナーではお世話になります。
参加組織になかなか苦戦していますが…。

投稿: 長久 | 2007年9月 3日 (月) 11時41分

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