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2007年7月 6日 (金)

ついに最終講義

きのうは73期岡山労働学校の最終講義
参加は20名。
「自分らしさを育てる-人間の社会性について」というテーマで、
講師は私が担当しました。


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講義準備はかなり「やばい」という状況で、当日にレジュメをつくり、
2時間前に完成し、ぶっつけ本番という感じでしたが、
意外にも、私の3回の講義の中では一番好評みたいでした。
これだから講師活動は不思議です。


以下、講義の概要です。



一。自分らしさとは
 
1。個性とはなんだろう
  
◇辞書で確認
   
「他の人とちがった、その人特有の性質・性格」(『岩波国語辞典』)

   
「一般的にはすべてのものの個物的存在について、他と区別され、
   それが独自にもつ特徴をいう。人間についても同様な意味であり、
   個性の伸長・発展ということがいわれるのは、同じく個々の人間の
   もつその特徴を、
身体上の運動能力にしろ精神上の感性または
   思考能力にしろ、各自のそなえた能力を、十分に発揮すること

   意味している。しかしどの個人にしても、社会と切りはなされて存
   在できないから、かならず社会から制約を受ける」
                         (森宏一編集『哲学辞典』)

  
◇他の動物の「個性」を考える
   
*ネコの「個性」
   
*アリの「個性」
   
*カタツムリの「個性」

    
人間は、「大人」になるための期間が長い。それは、「本能」より
    も、「学習」により大きな比重があるから。人間ほど「個性」に幅
    の広さと深さのある生きものはいない。人間らしい個性。

 
2。集団の中でこそ、個性が育つ
  
◇人間は、かならず集団で生きている
   
*家族、職場、交友関係、社会活動、社会…etc
   
*仮に、ひとり無人島で暮らしていたら、その人の「人間らしい
    個性」の発揮ということが、問題になるだろうか

   
集団の連帯のなかで、その人がその人でなければ仲間にそう
    することができないような独特なやりかたを発見すること
、そこ
    にこそ個性は育つのではないだろうか。

   
*「つながりあって、ハッピーになる」(金森俊朗)
   
*「あてにし、あてにされる」関係のなかで

     
「『成長』というのは、ぼくらのテーマです。成長というのは身
     長が伸びることではなく、年齢が増すことでもないですね。成
     長とはなんでしょうね。ひとつは受容力が伸びることでしょう
     か。現場でいろんなことが起こっている、そのことの全体がみ
     えて、
その人が悲しい顔からうれしい顔に変われるようにして
     いける力
というのが、ぼくたちの成長でしょうね
      
成長を可能にするのは何かというと、ほかの人とのかかわ
     りが必須
ですね。部屋を閉め切って50年たって自分は成長す
     るのかというと、それでは成長しない。人間がヒヤシンスと違
     うところでしょうね。成長するためには、窓を開けて外に出て
     人と交わっていく。…そのためにずい分傷つき、痛めつけられ
     るということになるかもしれない。そしてもうひとつ、
成長という
     のは自分が自分を面白いというふうに思えていくこと
でしょう
     ね。成長というのは医療者のそしてケアそのもののテーマなん
     です。でも、成長とは何かというと、やっぱりぼくには全体像が
     まだとらえられないっていう感じですね」
             
(徳永進『話しことばの看護論』、看護の科学社)

  
◇その集団の「質」も問題になってくる
   
*「人間らしい個性」をつぶす本質的性格をもった集団もある
   
*環境に順応しつつ、環境を変えていく
     
「環境が人間をつくるだけではない。その環境は人間がつくる。
    つまり、人間は環境にむかってはたらきかける。そこに、人間の
    主体性が発揮される。個性はそこに形成されていくのだ」
           (高田求『新人生論ノート』、新日本出版社、1979年)



二。現代社会が求める「個性」とは?
 
1。個性にも「勝ち・負け」が?
  
◇競争に勝つための、商品としての「個性」

    
「いま他人と自分を差異化できる『個性』が求められています。
    これは、他人にはない特別な才能、競争したときに圧倒的に
    つよい能力のことを指しています。これは競争社会のなかで
    人間を労働力商品としてみた場合です。新自由主義の社会で
    は、
商品となる『個性』をもつための競争に走らされています
                                   (佐貫浩)

   
*企業社会で。利潤をあげるための「能力」=「個性」
   
*学校教育で

    
いまの学校教育で「いわれている学力は、競争のなかで他者
    に勝る『個性』をつくりだすためのものです。それは他者に優
    越する学力でしかありません。しかし
本当の学力とは、単に知
    識を覚えるだけでなく、その知識を使って自分を表現し、他者
    とつながり、自分たちの生き方や社会のありようを創りだす力

    量だと思うのです」                  
(佐貫浩)

  
◇人間の「個性」はもっと多様なはず
   
*可能性は無限大

 
2。「自己責任」で個性は育つか?

    
「『自己責任』がもとめられる社会では、自分の困難を打ち
    明けても、共感されず、それが弱さとして嘲笑されるような
    環境があります。だから、自分を表現できないのです。表現
    できないからつながれない
」                           (佐貫浩)

   
*「あてにし、あてにされる」関係を壊すのが「自己責任」

 
3。そういう社会のあり方を変える
  
◇個性を輝かせる土壌を豊かに



三。自分らしく輝いて(おまけ)-日野原重明さんに学ぶ
 
1。齢にいのちを注ぐ
   
    
「いのちに、齢を加えるのではなく、
                  
齢に、いのちを注ぐようにしなさい」

  
◇年齢を重ねるということは、私たちに与えられた“時間”という
   器のなかに、“いのちを輝かせる材料”をつめこんでいく
ということ。

  
◇日々の経験、学び、出会い、別れ、喜怒哀楽…どんな1日にも、
   “いのちを輝かせるための素材”はころがっている。

 
2。ほかの人のために時間をつかう-自分らしさを育てるために
  
    
「寿命というわたしにあたえられた時間を、自分のためだけ
    につかうのではなく、すこしでもほかの人のためにつかう人
    間になれるようにと、私は努力しています。なぜなら、
ほかの
    人のために時間をつかえたとき、時間はいちばん生きてくる

    からです。時間のつかいばえがあったといえるからです」
                               (日野原重明)

    
「ほかの人のために時間をつかうとなると、それを強く意識し
    て、そうする努力をしないかぎり、自分のことだけで1日をつ
    かいはたしてしまいます」(同上)

    
「ほかの人のために自分の時間をつかうということは、自分
    の時間がうばわれて、損をすることではないのです。それど
    ころか、ほかのことでは味わえない特別な喜びで心がいっぱ
    いに満たされるのです」(同上)

    
「人と人とが思いやりをもってはげましあい、支えあっていくこ
    とが、人生のなかでじつはいちばんすてきなことなのです。
    間ってすごいものだなあと私が心から思うことは、人間には思
    いやりの心というものがあって、見も知らない人のためにも自
    分の時間をつかえるというところなのです
。そんなことは動物
    にはできません。人間だけにできることです」(同上)

 
3。学ぶこと、出会うこと

  ◇自分らしく生きるために、多くの出会いを


以上。




講義のあとの感想交流も、いい雰囲気でした。
みんな活発に、いいたいことが言える雰囲気っていうか。
感想交流で笑顔がたえないんですよ。ほんと。

労働学校って、すごいチカラをもっていて、
最初の方の教室の雰囲気と、きのうのような最後の方の雰囲気が
まるで違うんです。2か月間で。

「労働学校ってどんなところだろうか」
「硬い雰囲気のところだろう」
と緊張して受講していくる人たちが、
回を重ねるごとに、お互いを知るようになって、
老若男女の壁をこえ、まとまりができてくるんですよね。
顔つきもなんだか変わっている(いい方に)。

こういう学びの雰囲気っていうのは、
他ではなかなか味わえない、と思います。
これは、自画自賛してもいい、労働学校の特長だと思います。

きのうの様子をみていて、あらためて、
「ああ、ぼくってやっぱり労働学校が好きなんだなー」
と思ってしまいました。
受講生のみなさんに、感謝、感謝です。

土曜の修了式が楽しみです。


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コメント

お疲れさまでした。講師活動をすると本当に学習でき、血肉になりますよね。限界はないから、成長しつづけられますよね。県労会議のOさんにも講師お願いみたらいかがでしょう?

投稿: 坪中 明久 | 2007年7月 8日 (日) 00時44分

坪中さん、ありがとうございます。

今期もお世話になりました。
また修了レポート集を送るようにします。
来期もよろしくお願いします。

投稿: 長久 | 2007年7月 8日 (日) 16時30分

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