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2007年6月23日 (土)

日本を蝕む病

最近読み終えた本。

『新訂 看護観察と判断』(川島みどり、看護の科学社、1999年)

これまた大変勉強になりました。
井尻正二が出てくるとは思いませんでした。
さすがです、川島さん。

「労働者」「仲間」をありのままにとらえることの難しさ、
を教えてくれる本でもあります。

以下、本より引用。

  
偏見は、生涯を通してたたかわねばならない問題である。
  如何にして曲解した観察がなされるかを理解すれば、偏見
  は少なくなるだろうし、繰り返し自己分析を行うことによって、
  より少なくすることは可能かも知れない。しかし、残念ながら
  我々はみな、一度は偏見に陥るものである」
            
(V・ヘンダーソン『看護の原理と実際Ⅱ』)

  
ありのままの患者像を観察によって得ようとすることの難し
  さを自覚することから、真の観察は始まる
といってよい。観察
  のつど『今、私の知覚していることは、対象の姿を真に反映し
  ているであろうか』と、自問することを忘れてはならない」
              
(川島みどり『新訂 看護観察と判断』)

  
「真面目であるがゆえの思いこみや、偏った、狭い見方につ
  いては、絶えず克服する努力を怠ってはならない。
一生懸命
  に相手のことを気遣い、なんとか力になりたいと願うあまりの
  善意ではあっても、独り善がりのきめつけをしてはいないだろ
  うか
。自己の価値観にのみとらわれて、相手の人生観や生き
  方を否定していることはないか」             (同上)

  
「直感とよばれる人間の精神活動は、これを一種の洗練され
  た感性の働きであるとみることができる。しかも
直感は、対象
  の漠然とした、ばらばらな印象を受けとる受動的な能力として
  感性の働きではなくて、人間の肉体的な、精神的な全経験お
  よび、全能力が集約された感性の働きであって、そのなかに、
  判断力、類推力、抽象力などといった悟性や理性の働きも圧
  縮した形でふくんでいる能動的な感性の働きである

                          (井尻正二『科学論』)

  
「受動的な感性は、動物的で遺伝的な本来その個人にそなわ
  ったものであるが、
能動的な感性は、社会的・人間的なもので
  ある。したがって、ある程度トレーニングによっても、その能力
  を高めることは可能である
。美しいものを見て感動したり、音
  楽や芸術に触れ、スポーツや登山で汗を流すことも、感性を豊
  かにするトレーニングになる。
人間が生活の過程で感じる『喜・
  怒・哀・楽』の反応すべてが、感性をきたえ直感の能力を強める

  のである」        (川島みどり『新訂 看護観察と判断』)

  
「看護は人間を相手の仕事である。対象となる人々の、個々の
  背景に応じて形成された感じ方も一様ではない。それだけに、
  
多様で多面的な人間の感じ方に接近するための基礎となる学
  習もしなければならない。…そのためにも、
専門的知識を吸収
  することはもとより、文学作品などを通して、人間の心の動きや
  感情、さまざまな人生の過ごし方や人生観についても意欲的に
  学ぶようにしたい
。…看護婦自身の生き方や、生活の仕方その
  ものが、看護婦の感性に及ぼす影響を十分理解して、意欲的
  に生活のもろもろの事象をも刺激にしていく必要がある。
気づき
  のアンテナの感度をよくする努力
は、看護観察の基本であるか
  らである」                           (同上)


『成果主義とメンタルヘルス』(天笠崇、新日本出版、2007年)

成果主義システムとメンタルヘルス悪化の因果関係を
追求したもの。著者は医師であり、科学的な実証方で
問題にせまっていきます。
大企業のおよそ9割になんらかの形で導入されている
という成果主義。そりゃ、うつ病は増えますよ。


『「慰安婦」と心はひとつ-女子大生はたたかう』
           (石川康宏ゼミナール編、かもがわ出版、2007年)


6月に出た新刊。
石川ゼミ3冊目の本ですが、
1冊目、2冊目とはまた違う角度、内容の本であり、
そこのところに唸ってしまいました。

学生の座談会は必読。とくに活動家の諸先輩の
みなさんに読んでもらいたいと思いました。

松竹伸幸さんて、今かもがわ出版にいるんですか!?
知らなかった…。同姓同名じゃないわな…。


『ワーキングプア-日本を蝕む病』
     (NHKスペシャル『ワーキングプア』取材班・編、ポプラ社、2007年)


これもこの6月の新刊。
昨年7月の「ワーキングプア」、12月の「ワーキングプアⅡ」の
取材班やキャスターが、番組作りの動機や、
番組では取り上げられなかったエピソードなどもふくめ、
書かれている、貴重な本。

番組づくりの議論を重ねて、確認したことは、
「日本国憲法をひとつの指針にすること」
ということ
ちゃんと据えられていたそうです。
それも番組で語ってほしかったですが。

 「実は
取材はしたものの放送には結びつかなかったものも
 数多くあった
その一つが『オンコールワーカー』と呼ばれる
 日雇いの労働者
だった。…携帯一本で派遣会社からの連
 絡を受けて仕事を請け負う日雇いの労働者。最近、若者を
 中心に急増している。わたしたちが取材した35歳の女性も
 7,8社の派遣会社に登録し、携帯電話で連絡を受けては、
 徹夜で倉庫の仕分け作業をしていた。
  …日雇いなので会社では名前も覚えてもらえず、友人も
 ほとんどいない。技能もまったく身に付かないまま年齢を重
 ねている。『将来の夢はなんですか』という記者の問いかけ
 に対し、彼女は
『私のスペアなんていくらでもいるのですよね』
 とだけ答えた。『彼女の居場所はなく、人間の尊厳まで奪わ
 れてしまっていくように感じられた』と記者はその実感を話し
 た」

 「『ただ普通の暮しがしたい』としぼりだすような声で話した児
 童擁護施設の子ども。『自助努力が足りないのでしょうか』と
 涙を流して訴えたダブルワークの母親。『ワーキングプア』の
 問題をどうすれば解決できるのか、すべての国民に保障され
 ているはずの憲法25条の生存権の精神をどうすれば現実の
 ものとすることができるのか。
わたしたち取材班は、いま新た
 な取材を始めている


続編の取材も始まっているようです。
制作者の真摯な姿勢と、「伝えたいこと」が伝わってきます。

ぜひ一読を。

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