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2007年5月25日 (金)

君たちはどう生きるか(4)

今日は11時15分からコープ倉敷北店
生協労組おかやまパート部会の新人研修
いつものように「労働者とは、労働組合とは」という話を
1時間でしてみました。

「以前、労働組合に入っていたことは?」と聞くと、
「天満屋で」「鉄鋼関係で」という人が2人。
どちらも連合ですが、組合の実体はどんなものか、ぜひ知ってみたい。

話は12時15分に終わり、すかさず移動。
昼食をとる時間もなく、雨の2号線バイパスを車で走りました。

13時10分から
ソワニエ看護専門学校の第5講義
読書日記で、本を2冊紹介したあと、
「貧しき友」の部分をつかっての講義でした。

今日は副校長のM田さんがなぜが
「私も聞かせてね」ということで、教室の隅で
私の話を聞いていました。
終了後の貴重なアドバイス、ありがとうございました。

以下、講義の中身(長いですが、レジュメをそのまま転載)。

1。今週の範囲の要約


2。コペル君と浦川君の関係性
 
◇対等な立場(人間観)ーそれを持ちつづけることの難しさ

   
「君は浦川君のうちに行っても、少しも高ぶった様子はし
  なかった。貧しい人々をさげすむ心持なんか、今の君にさ
  らさらないということは、僕も知っている。しかし、
その心持
  を、大人になっても変わらずに持ちつづけることが、どんな
  に大切なことであるか
、それはまだ君には分かっていない。
  だが、僕はこの機会に、その大切さを君に知ってもらいた
  いと思う。それは、君が世の中のことを正しく知ってくればく
  るほど、ますます大切になって来ることなんだ。いや、世の
  中のことを正しく知るためにも、決して失ってはならない大
  切なものなのだ。なぜかというと・・・今の世の中で、大多数
  を占めている人々は貧乏な人々だからだ。そして、
大多数
  の人々が人間らしい暮しが出来ないでいるということが、僕
  たちの時代で、何よりも大きな問題となっている
からだ」
                                (131
P)

 
◇現代日本は、この関係性を失いつつある社会
  
*その典型は「勝ち組・負け組」という人間観


3。貧しさと健康

   
「労力一つをたよりに生きている人たちにとっては、働けなく
   なるということは、餓死に迫られることではないか。それだ
   のに、
残念な結果だが今の世の中では、からだをこわしたら
   一番こまる人たちが、一番からだをこわしやすい境遇に生き
   ているんだ
粗末な食物、不衛生な住居、それに毎日の仕事
   だって、翌日まで疲れを残さないようになどと、ぜいたくなこと
   は言っていられない。毎日、毎日、追われるように働きつづけ
   て生きてゆくのだ」(133
P)

 
◇ぜひ読んでほしい『健康格差社会』(近藤克則、医学書院、2005年)
  
*健康も自己責任?―その批判的検討
   
<社会経済状態と健康><人間関係と健康>
   <学歴・職業・所得と健康>
   
<生き抜く力と健康><コミュニティ力と健康>etc

    
「『勝ち組』と『負け組』に二極分化する格差社会が招くもの、
    それが比喩としての『痛み』でなく、『死』をも意味する健康被
    害であることを伝えたい」(序より)

 
◇例えば、「住まいの貧困と健康」という問題を考えてみます
  
*『居住福祉』(早川和男、岩波新書、1997年)より

    
「快適で安心して住める住居は、生きるために必要というだけ
   ではない。人として生まれてきて、ゆたかな感性をもち、個性を
   のばし、充実した人生を送るには、快適な生活環境が必要であ
   る。・・・心の安らぐ部屋、気分が晴れ晴れし壮快になる居住地、
   子どもが思い切り遊びまわれる自然など、
住環境の持つ役割と
   人間形成にあたえる影響はきわめて大きい


    
「現代の日本人は、『居』の貧困によって、ゆとりある人間性が
   養われないのではないか。貧しい住居環境、追われる時間のな
   かでは、生きるだけで精一杯の人間になってしまう。住宅構造が
   劣悪で、過密・非衛生で、町が汚なく騒音や排気ガスなどの危険
   に満ち、自然もないといった居住条件のもとでは、生まれ出てき
   た子どもは健康で心ゆたかな人間に育つことが妨げられる。おと
   なも子どもも、いつも
イライラして心の安らぎがえられない。高齢
   者は静かでゆったりした老後を送ることはできない。個人、家族、
   社会の健康と調和を得られる
居住環境こそは、市民社会の基礎
   である


    
「震災による死者にはいくつかの特徴があった。犠牲は高齢者、
   障害者、被差別部落住民、若者、在日外国人などを中心に、低
   所得層や日常から居住差別をうけている人たちに多かった。

   食住のうち、今日では衣食が平準化してきているのに比べ『住』
   の階層較差ははなはだしい
。普段はかくれていたことを、地震は
   一挙に浮かびあがらせた」

    
96年7月、ポートアイランドの仮説住宅に住むひとり暮しのKさん
   は、400万円の貯金をのこし、栄養失調で亡くなった。4~5万円の
   年金のなかなから食費をきりつめてわずかの金を蓄え、まともな家
   にもどってからの生活設計に備えようとしていたとみられている。人
   は希望がなければ生きられない。いま苦しくても未来に希望があれ
   ば生きられる。だが、仮設住宅の居住者にとっては希望が見えない
   のである。希望の生まれない最大の理由は、暮しの根拠地としての
   住居が定まらないからである」

  
・以下は、第2章「健康と住居」より

    
「住居の状態が病気の原因になっている場合が少なくない。住居
    をよくしなければ防げない、治らない病気がたくさん存在するので
    ある」

   
【狭小過密住宅】

    
「住居が狭いと、室内には家具や生活用品が散乱し、つまづいて
    転倒したりする。小児にとってはケガ、異物の誤飲の原因となる。
    また、狭い部屋のなかの家具は通風を妨げ、部屋の隅の掃除は
    困難で、非衛生的な室内環境になり、ホコリ、カビ、ダニがふえ、
    気管支ぜんそく等の原因になる。さらに狭さはストレスとして現れ、
    家族の人間関係をおかしくする。不眠、抑うつ症状、精神分裂症
    状、あるいはケンカ、離婚などの家庭崩壊にいたることもある」

    
「居住空間の狭さはまた、療養・リハビリテーションを困難にする。
    ・・・段差の問題なども加わって移動が極端に少ないと、体力が低
    下し、からだ全体が弱っていく。骨もおとろえ骨粗鬆症などの原因
    になる。まったく身体を動かさなければ、心身機能は急速に後退
    し、わずか3~5日で障害が出現し、筋肉は繊維数が減って萎縮
    し、3週間で半分になるともいわれる。・・・震災後学校などに避難
    したお年寄りは、真冬に暖房のない寒さの中で毛布をかぶってじっ
    としていた。それが沢山の寝たきり老人をつくる原因になったとみ
    られている。また家庭のリハビリには各種福祉機械の導入が必要
    だが、部屋が狭ければ困難である。車いすの使用や介護空間の
    確保も難しい」

   
【傷病を生む家屋構造】

    
「家のなかで滑ったり転んでの家庭内事故による死亡者は年間七
    千数百人である。死者は乳幼児と高齢者に多い」

    
「<階段>からだの弱った高齢者や自分で注意できない乳幼児は、
    しばしば階段から転落する。また高齢者にとって手すりのない階段
    の昇降は足腰への負担が大きく、ひざ関節炎や腰痛症につながる。
    いちど転倒しかけるとその恐さから階段を昇降しなくなり、部屋に閉
    じこもりがちになる」

    
「<段差>日本の家屋には玄関や廊下と和室の間の敷居などいた
    るところに段差がある。高齢になって身体機能が低下するとともに、
    段差はことごとく障害物となって現れ、時には外出を困難にする。ま
    た心理的障害となり何をするのもいやになり、ついには寝たきりや
    痴呆になってしまう」

   
他にも・・・【居住設備の不備】【住環境ー日照・通風の不良、高湿度】etc

    
・イギリスでは住居の健康にあたえる影響の研究が、医師を中心に
     盛んに行われたという。そのひとつ、スロウ・ロウリ医師の報告。

    
「住居は私たちの健康に強い影響をあたえている。医師は患者の
    疾患がどの程度に住居の状態によるものであるか、何がそれらの
    改善を可能にするかを知る必要がある。開業医は多かれ少なかれ
    地域社会の中で住居の状態をよりよく管理することが求められてい
    る」

    
1970年代と80年代に公衆衛生の力点が変わった。健康問題は
    個人の責任となった。つまりタバコをやめる、脂肪をあまりとらな
    い、コンドームを使う。低体温症を防ぐキャンペーンでさえ自分で
    毛糸のセーターを編むなど、個人の行動次第であるという観念を
    流布してきた。もちろん、人びとは自分の行動が健康にどのように
    影響するか知っているべきであるが、個人の責任に固執してきた
    ために
私たちはより広い視野からの介入がどれほど助けになるか
    を見てこなかった。犠牲者シンドローム(なんでも犠牲者のせいに
    すること)は、われわれが知っている最悪の病気である


  
◇ノーベル経済学賞を受賞したアマルティア・センが、人間らしい
   生活を営むための
「7つの指標」をあげている。
     
①十分栄養をとる
     
②衣料や住居が満たされている
     ③予防可能な病気にかからない
     ④読み書きができる
     ⑤移動することができる
     ⑥社会の一員として社会生活に参加できる
     ⑦恥をかくことなく人前に出ることができる

  
◇なぜこの社会は、格差と貧困を生んでいるのか?
   
*すすむ「健康格差」-患者さんだけ見ていては解決できない
    
・国民健康保険料が払えていないのは470万世帯―うち35万世帯
     が保険証を取り上げられる
    
・ワーキングプア-働いているのに生活保護以下の
     収入しか得られない
    
・ネットカフェ難民-“住まいは人権”なにの・・・
    
・正社員は長時間労働-増える過労による病気
    
・病院にこれない人びとの姿は、見ようとしなければ、見えてこない
   
学生時代、とくに1年生のあいだに、ぜひこうした問題を
     学んでいってほしい
    
・いまの政治のあり方
    
・資本主義という社会のあり方
    
・それを支えている考え方


4。生み出す働きの尊さ

  
◇人間の「網目の法則」のなかで、見落としてはならないもの

   
「考えてみたまえ。世の中の人が生きてゆくために必要なもの
   は、どれ一つひとして人間の労働の産物でないものはないじゃ
   ないか。いや、学芸だの、芸術だのという高尚な仕事だって、
   そのために必要なものは、やはり、すべてあの人々が額に汗
   を出して作り出したものだ。あの人々のあの労働なしには、文
   明もなければ、世の中の進歩もありはしないのだ。
ところで、君
   自身は何をつくり出しているだろう。世の中からいろいろなもの
   を受け取ってはいるが、逆に世の中に何を与えているかしら

   改めて考えるまでもなく、君は使う一方で、まだなんにもつくりだ
   していない。毎日三度の食事、お菓子、勉強に使う鉛筆、インキ、
   ペン、紙類、-まだ中学生の君だけれど、毎日、ずいぶんたくさ
   んのものを消費して生きている。着物や、靴や、机などの道具、
   住んでいる家なども、やがては使えなくなるのだから、やはり少
   しずつなし崩しに消費しているわけだ。して見れば、君の生活と
   いうものは、消費専門家の生活といっていいね」(138
P)

   
「生み出してくれる人がなかったら、それを味わったり、楽しんだ
   りして消費することは出来やしない。
生み出す働きこそ、人間を
   人間らしくしてくれるのだ
。これは、何も食物とか衣服とかいう品
   物ばかりのことではない。学問の世界だって、芸術の世界だって、
   生み出してゆく人は、それを受取る人々より、はるかに肝心な人
   なんだ」
(140P)

  
*「社会的地位が高い」と言われている人や、「稼ぐが勝ち」と言った
   ような人は

  
*みなさんは、本格的に世の中に役立つための、準備をしている人
 
   
「世の中に立つ前の準備中の人なのだから、今のところ、それでちっ
   とも構やしないんだ」(141
P)

   
「僕は心から願っている-君がぐんぐんと才能を延ばしていって、世
   の中のために本当に役に立つ人になってくれることを!」(137
P)



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講師活動」カテゴリの記事

コメント

聞きたいなあ、長久さんの講義。小冊子にまとめてくれればいいのに。

投稿: 坪中 明久 | 2007年5月27日 (日) 00時42分

坪中さん、3連ちゃんのコメントありがとうございます。
先日の労働学校もお世話になりました。

講師活動はいまのところ修行だと思ってやってます。
「今日はうまくいった!」という感触は、なかなかないんですよ。
修行の一環で、ぜひ新見でも、総社でも、若い青年たちの学習会によんでください。

選挙が終わったら、
またぜひ飲みにいきましょう!

投稿: 長久 | 2007年5月27日 (日) 12時39分

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