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2007年5月16日 (水)

『経済』から2つの論文

雑誌『経済』6月号の2つの論文を読みました。

「“人間らしい生活”の条件とは」(暉峻淑子)はよかった。
相変わらずこの人の文章は小気味いいです。

『豊かさの条件』(岩波新書)に書いていたらしいですが(忘れていた)、
ドイツには全国失業者同盟という組織があるそうです。

以下論文から引用。

「アパートの住民の1人が失業したときアパートの人たちが
心配して、この人は放っておくとアルコール中毒や引きこも
りになってしまうから、ハイキングに行くときには彼を誘おう
とか、スープを多く作りすぎたからどうぞ食べてくださいともっ
て行って、誰となくその失業者を支援するのです。それがし
だいに広がって全国失業者同盟ができたのです。そこに市
民は1ユーロ(約150円)ずつ、失業者のために寄付してい
ます。
日本の労働組合は、失業者のためにはほとんど何も
していない。パートのためにでさえ、やっとこのごろ少し動き
出したくらいです。
ヨーロッパの労働組合は、失業者たちが
会議をするときに労働組合の建物をただで使わせています
し、大きな集会でもするというと、ビラをつくる費用も全部、
労働組合が出しています


ヨーロッパの労働運動のことを、もっと深く学ばなければ
ならないと自覚しました。

と、ここまで書いてきて、『豊かさの条件』が手元にあったので、
パラパラと見てみました。たしかに書いてありました。
そして、こう指摘しています。

失業者が増えれば、労働市場は買い手の思うままになり、
正規社員はパートに置き換えられ、労働条件も悪化する。
つまり、失業者問題は全労働者の問題なのだ
。労働組合の
弱体化は健全な社会の対抗力を弱め、人間としての生活の
価値を衰退させていく。
 
ドイツの労働組合はEU全体の労働者にも働きかけて、共
通のルール作りを積み上げつつある。ドイツの企業が南米
に新工場を作ったときにも、そこで働く労働者の労働条件を
引き上げるために、現地の労働組合と協力して成功した

賃金はその国のレベルを基準とするものの、医療保険、休
暇、職業災害などの社会保険制度はドイツの制度に準じて
いる」

日本の多国籍企業がアジアへの資本進出を
している現状で、日本の労働者は、アジアの
労働者と競争するのではなく、ともに労働組合を
つくってたたかうという選択をしなければならいのです。

アジアの労働者、団結せよ!


もうひとつ読んだ論文は、
「安倍教育再生会議と私たちの教育改革」(佐貫浩)

数多くいる教育関係の学者の中でも、
佐貫さんは私が一番信頼できる学者です。
会ったことはありませんが(笑)。

この論文では、
教育再生会議の役割についての認識がクリアになりました。

「教育再生会議の性格とは、安倍首相の新自由主義と国家主義
の教育改革を、如何なるバランスで推進していくかの調整(統制派=
国家主義派と規制改革派の対立の調整)を、あたかも教育改革を
めぐる国民的な対立を議論し合意を探求するように演出しつつ、
図っていくことであろう。もとより今日では、統制派と規制改革派は、
敵対的でないというよりも、相互補完的な関係であることを、両者
共に了解している」


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