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2007年3月 3日 (土)

おもしろ憲法講座(1)

日本国憲法にまつわる「へー」という“ブログ連載講座”を
これから、ちょこちょこと書いていきたいと思います。


『世界の憲法集〔第三版〕』(有信堂、2005年)という本があります。


世界の主要国、18カ国の憲法が収録されているのですが、
読むと結構おもしろい。


以前、他国の人権規定を日本国憲法の人権規定と見比べて読んでみたことが
あるのですが、その中で「おもしろいなぁ」と思う条項に出会ったり。

例えば、

イタリア憲法の第36条「労働に対し平等な報酬を受ける権利および休息権」。

1.労働者は自己の労働の量および質に応じ、およびいかなる場合にも、
  自己およびその家族に対し、
自由にして品位ある生存を保障するに
  足る報酬を受ける権利
を有する。
2.労働日の最高限は、法律によって定められる
3.労働者は、各週の
休息および有給年次休暇をとる権利を有し、これを
  放棄することはできない



いいでしょー。
「自由にして品位ある生存」とか、「有給休暇は放棄できない」とか。
まったくイタリアらしい。

あと、ヨーロッパの憲法では、
「死刑の禁止」というのが入っている
ところが結構多いですね。


そして、よーく他国の人権規定と比べて読んでみると、60年前に
つくられたにもかかわらず、日本国憲法の人権規定が、世界水準の先進性と、
どんな問題にも対応できる柔軟性をもった内容だということがわかります。


また、日本国憲法は、9条2項をもっているがために、
軍事や軍隊に関する規定がいっさい出てこないのですが、
この本に
収録されている18か国の憲法を見ると、
必ず「軍事」や「軍隊」に関する条文がある
のです。

以前、講義の準備で調べたものがあるので、ご紹介します。

【アメリカ合衆国憲法】
 
*第1条第8節11「宣戦布告」12「陸軍の設立」
  13「海軍の設立」15「民兵の召集」
 
*第2条第2節1「大統領の軍司令権」

【イタリア共和国憲法】
 
*第52条「兵役の義務および軍隊の組織」

【インド憲法】
 
*51A条4「国を防衛し、要請されたときには軍務に従事すること
【オーストラリア連邦憲法】
 
*51条6「陸海軍による連邦および各州の防衛…武力の統制」
【オーストリア連邦憲法】
 *第1節第4款「連邦軍
【1982年カナダ憲法】
 *第4条2「非常事態における会期の延長」 *第11条(f)「軍法会議

【スウェーデン・統治法典】
 
*第10章9条「国防軍
 
*第13章「戦争および戦争の危機
【スペイン憲法】

 *第8条「軍隊
 
*第30条「国防の権利および義務、良心的兵役拒否」

【大韓民国憲法】
 
*第39条「国防の義務」 *第74条「大統領の国軍統帥権」

【中華人民共和国憲法】
 
*第55条「兵役に服する義務
【デンマーク王国憲法】
 *81条「国家の防衛に貢献する義務

【ドイツ連邦共和国基本法】
 
*12a条「兵役およびその他の役務」 *第10a章「防衛事態

【フィリピン共和国憲法】
 
*第16条第4節「国軍の構成」5節「国軍の管理」

【ブラジル連邦共和国憲法】
 
*第5編第1章「国土防衛事態」2章「国軍」143条「兵役の義務

【フランス共和国憲法】
 
*第15条「軍隊の首長」 *第35条「宣戦

【ベルギー国憲法】
 
*第182条「軍隊の採用方法等」

【ポーランド共和国憲法】
 
*第26条「」 *第85条「祖国防衛義務
 *第134条「軍についての大統領権限」

【ロシア連邦憲法】
 
*第56条「非常事態下の権利と自由の制限」 *第59条「兵役の義務


・・・という具合です。世界の主要国の憲法では、
「もし有事になったら」「軍隊はこう構成します」「防衛の義務」といった

条文がどこかにあるのです。それが「普通」なのです。

日本国憲法は、その意味で「普通」ではありません。

「戦力はもたない」「交戦権は否定」ということですから、
「戦争」ということをまったく想定していない憲法なのです。

しかし、21世紀に入ってますます、
そのことの意味が、光輝いてきているのです。

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