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2007年2月 6日 (火)

岡本太郎の沖縄論

最近読み終えた本。


『太陽の学校』(金森俊朗、教育史科出版会、1988年)

先月読んだ、『いのちの教科書』に引き続いての、金森学級の教育実践記録。
今度は約20年前と古いが、金森先生が担任の6年生たちの1年間の歩みが
よくわかる。ちょうどこの頃は私も小学生ぐらいだったなー。

こんな先生に教えられた生徒は本当に幸せです。
と同時に、子どもの可能性、創造性のすばらしさにも感動の連続。

今回は、学習運動へのヒントとなることも、いくつも考えることができました。

「今、教育界ではいかに教えるかの方法ばかりに腐心しているが、
子どもが求め、必要としているのは、教師自身の豊かな人間観、
人生観と言えるのではないか
と思えてしかたがない」

肝に命じたい言葉です。



『沖縄文化論-忘れられた日本』(岡本太郎、中公文庫、1996年)

沖縄旅行の最中に読んでいた本。
1959年11月~12月にかけての岡本太郎の沖縄見聞録を中心に、
1966年の久高島訪問、そして1972年の「本土復帰にあたって」を収録。

沖縄の友人に「ぜひ沖縄へ」と誘われて、気軽に訪れた沖縄とその島々で、
太郎は「日本の原点」と出会い、強烈な印象をもつ。

「私はこの報告によって、人間の純粋な生き方というものがどんなに神秘
であるか、その手ごたえを伝えたかった。それは生きている自分の土台を
たしかめる情熱でもある。・・・
この神秘。私がここでぶつかったのは、はか
らずも日本の神秘だった
。・・・それにしても、沖縄の魅力にひきこまれ、私
はほとんど一年近くもこの仕事にうちこんでしまった。それは私にとって、
一つの恋のようなものだった
(「あとがき」より)

「私はますます日本、それもその風土と運命が純粋に生き続けている辺境
に強くひかれる。そこには貧しいながら驚くほどふてぶてしい生活力がある。
・・・そういう意味で重要な魂はやはり沖縄だ。したがって、
私がここで展開
したいのは沖縄論であると同時に、日本文化論である
(20ページ)

以後、叙述される太郎の沖縄への眼差しは、ときにするどく、ときにやさしい。

太郎は、この仕事(雑誌への連載)をするにあたって、相当沖縄の
歴史を学んでいると思う。戦前の人頭税から、沖縄戦、気候風土までふくめ
バックボーンとしてつかんで、この文章を書いている。そこがやはりすごい。

目次だけ紹介すると、「沖縄の肌ざわり」「『何もないこと』の眩暈(めまい)」
「八重山の悲歌」「踊る島」「神と木と石」「ちゅらかさの伝統」「結語」となって
いるが、扱われる問題は本当に幅広い。


巻末の「本土復帰にあたって」もこれまた圧巻。
太郎の先見性を前に、うなるばかりでした。
全文紹介したいのですが、最後の部分だけ紹介します。

本土とはまるで違っていながら、ある意味ではより日本的である。あの
輝く海の色、先ほども言った沖縄の人たちの人間的な肌ざわり。もちろん、
あの『沖縄時間』を含めて。
本土の一億総小役人みたいな小ぢんまりした
顔つきにうんざりした人は、沖縄のような透明で自然なふくらみ、その厚
みのある気配にふれて、
自分たちが遠い昔に置き忘れてきた、日本人と
しての本来の生活感を再発見すべきなのである

 皮肉な言い方に聞えるかもしれないが、
私は文化のポイントにおいては、
本土がむしろ『沖縄なみ』になるべきだ、と言いたい
。沖縄の自然と人間、
この本土とは異質な、純粋な世界とのぶつかりあいを、一つのショックとし
てつかみ取る。それは日本人として、人間として、何がほんとうの生きがい
であるかをつきつけてくる根源的な問いでもあるのだ。とざされた日本から
ひらかれた日本へ。
 
だから沖縄の人に強烈に言いたい。沖縄が本土に復帰するなんて、考
えるな。本土が沖縄に復帰するのだ、と思うべきである
。そのような人間
的プライド、文化的自負をもってほしい。
 この時点で沖縄に対して感じる、もの足らなさがある。とかく当局者も一
般の中にも、本土に何かやってほしい、どうしてくれるのか、と要求し期待
する方にばかり力を置いている人たちが多い。
何をやってくれますか、の
前に、自分たちはこう生きる、こうなるという、みずからの決定、選択が、
今こそ緊急課題だ
。それに対して本土はどうなんだ、と問題をぶつけるべ
きなのである。
 私は島ナショナリズムを強調するのではない。島は小さくてもここは日本、
いや世界の中心だという人間的プライドをもって、豊かに生きぬいてほしい
のだ。沖縄の心の永遠のふくらみとともに、あの美しい透明な風土も誇ら
かにひらかれるだろう」

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